バブルを彩った"直線番長" 速い、安い、カッコいい三菱GTOを評論家がほぼほぼ酷評した理由
ワイド&ローのスポーツカー
GTOのボディサイズは全長4555×全幅1840×全高1285mmという堂々としたもので、ワイド&ローが特徴。特に1840mmの全幅はライバルを圧倒するワイドさだった。今でこそ日本車も大きくなって全幅1800mmを超えるSUVは数多く登場しているが、1990年当時は全幅が1700mmを超える3ナンバーサイズというのは事件だった。そんな時代だからこそ全幅1840mmは暴力的なまでの威圧感があった。筆者はGTOがデビューした年に自動車雑誌『ベストカー』でアルバイトを始め、その時に広報車両のGTOを始めて運転した時は怖いと感じたほど。 ちなみにライバルの全幅は、日産スカイラインGT-R(R32)が1755mm、日産フェアレディZが1790mm、NSXが1810mm。全幅は10mm変われば、印象も感覚も変わると言われるだけに、GTOの突出感が強調される。
超重量級のスポーツカー
当時の日本では破格の大型スポーツカーとして登場したGTOだが、強烈だったのが車重で、トップグレードのツインターボは1700kg!!これはGT-R(1430kg)、フェアレディZツインターボ(1520kg)、NSX(1350kg)と比べても明らかに重量級で、NSXとは350kgの差!!スポーツカーは軽さが命と言われるが、驚くほど重かったのだ。 GTOが超重量級となったのは、4WDシステムが重かったことのほか、いろいろな装備が満載されていたのもその要因だ。
10年先を行っていた三菱の思考
GTOに搭載されたエンジンは、3L、V6ツインターボとそのNAの2種類。ツインターボは最高出力:280ps/6000rpm、最大トルク:42.5kgm/2500rpmというスペックを誇った。当時は280psのメーカー自主規制により技術的には可能でも280psを超えることができなかったが、その代わりにトルクを増やすというのに着目されていて、その先鞭をつけたのが三菱で、GTOは圧巻の42.5kgmをマーク。しかもその最大トルクをわずか2500rpmで発生するのが凄いところ。1990年代のエンジンは回してなんぼ、高回転の気持ちよさこそ最高!!という時代だった。その後パワー至上主義からトルク重視に変わっていくのだが、今になって考えれば、三菱のエンジンチューニングは10年先を行っていたということになる。