今、ノリに乗ってる建築家による「水庭」を存分に楽しめるオーベルジュ
ここ数年、アート好きの間で話題となっている「水庭」は、話題の建築家・石上純也によって作り上げられた作品だ。そんな水庭を眺めながらフランス料理を楽しみ、さらにはスイートヴィラにステイできるオーベルジュが、この4月、那須にリニューアルオープンした。
注目の建築家による「水庭」を眺めながら心休まるステイを
Web LEON食いしん坊担当の秋山 都です。 実はここ数年、私の心をゆさぶり続けている風景がありました。それがこちらの写真。
緑濃く苔むした土地に無数の大小の池が配され、樹々が美しい影を落としている木立です。ここは森? 湿地帯? 自然? 人工? 頭の中がハテナで一杯になりながらも、この地の名前だけはしっかりと記憶に刻んでおきました。「水庭(みずにわ)」。後に知りましたが、建築家である石上純也さんの作品です。
◆「那須 無垢の音」/3万5000平米の広大な敷地にわずか14棟のヴィラとレストラン
この石上純也さん、実はもっとも注目されている建築家のひとりです。東京藝術大学大学院修士課程を修了後、妹島和世さんの建築事務所を経て独立。デビュー作にして代表作のひとつに神奈川工科大学 「KAIT工房」と「KAIT広場」。また、旧知の友人のために設計した住宅兼店舗「House&Restaurants」は、2024年日本建築学会賞に輝く(池上さんは同賞を2009年に「KAIT工房」で受賞しているため2度目)など、今ノリに乗っている建築家とも言えるでしょう。
その石上さんが4年かけて2022年に完成させたのが「水庭」。1600㎡の土地に160余の池をつくり、約300本の木を植えています。実は以前、砂利敷の駐車場だった地を人の手によって再構成した庭ではありますが、昔からここにあった自然の景色のように見えることに驚きます。 設計者である石上さんいわく、「木々を人の手で再配置することで、森のような樹木の密度がありながらも、地面や池まで陽光が届く、光に満ちた環境を作りたいと思いました」。もともとこの地にあった素材を活用したいと考え、約300本の木は隣接する敷地に生えていたものを移植。周りを囲む石垣や、庭の敷石も、この場所にあったものを少しだけ形を変え、最大限に活用しています。 私は今回、このずっと訪れてみたいと思っていた「水庭」を実際に歩く機会を得て、“天然”のように見える“人工”の環境に身を置く不可思議な感覚のとりこになりました。すべてが計算されて間違いなく美しい、どこにも隙のない“神の庭”のような印象。取材時は3月だったので、「水庭」はまだ初春の装いでしたが、今は美しい新緑に覆われていることでしょう。秋には紅葉、冬には雪……と四季折々の美しさが楽しめます。