負傷者重なりクラセン3連敗の仙台ユース…トップデビューの主将MF横山颯大は「基準を上げて」悲願のプレミア参入目指す
[7.25 クラブユース選手権(U-18)GL第3節 仙台ユース 0-1 横浜FMユース アミノバイタルトレーニングセンター多目的グラウンド] 【写真】影山優佳さんが“人気女優”と代表戦を現地観戦「可愛すぎる」「勝利の女神が2人」 昨年のクラブユース選手権では、8年ぶりのグループリーグ突破を達成し、4年ぶりに出場したプレミアリーグプレーオフでは清水ユースに勝利し、あと一歩でプレミアリーグ参入まで迫ったベガルタ仙台ユース。今年はプリンスリーグ東北開幕から10戦負け無し(第11節秋田U-18戦で初黒星)と好調で、今大会の躍進も期待されていたが、激戦となったグループDで1勝も挙げられず、3連敗で大会を去ることとなった。 痛かったのはFWで負傷者が重なったことだ。エースストライカーのFW齋藤俊輔(3年)が6月末に負傷離脱。前線でボールを収められるだけでなく、足下の技術を使ってゴールチャンスをつくる齋藤の離脱後はプリンス東北でも得点力の低下が課題となっていた。 さらに昨年の今大会では1年生ながらJFAアカデミー福島U-18戦でゴールを挙げるなど活躍したFW古屋歩夢(2年)も負傷で今大会に帯同できず。強引なドリブル突破から貪欲にゴールを狙うパワフルな古屋も欠くこととなった。今大会は1、2年生のFWが出場したが、3試合で1得点と、結果的に攻撃の迫力を欠く形になった。 こうした状況の中、キャプテンで、3月3日のルヴァン杯1stラウンド1回戦沼津戦や、6月12日の天皇杯2回戦徳島戦で試合出場を果たしている2種登録選手のMF横山颯大(3年)は「(今回出場したFWも)特別なことはしなくても、いつもと変わらずにできるので、『いつも通りやって良いよ』という声かけはしました」と公式戦出場の少ない選手に対しても平常心でのプレーを促したという。しかし、「特に1試合目は難しい試合になって、自分たちが1、2年生をもっと引っ張っていけるような立ち居振る舞いをしなければいけなかった」と、全国大会に出場した経験の少ないFW陣が、のびのびとプレーできるような状況をつくり出せなかったことを悔やんでいた。 このようにチームを引っ張るという面で、仙台ユースの木谷公亮監督は横山に関して、「いろいろなものを背負ってやろうとしてくれているのですが、もう一つここから半年キャプテンとして、自分自身もそうですが、チームをまとめるところに期待しています。リーダーがいないとチームは強くなりません。キャプテンだからじゃなくて他の選手もやらなければいけませんが、強いチームにはそうしたリーダーが必ずいるので、そうなってくれることを期待しています」とキャプテンシー、リーダーシップをもっと前面に出してほしいと期待をかけている。 豊富な活動量でピッチ狭しと攻守で駆け回り、チームの守備を下支えし、チャンスメイクもできる選手だが、今季のプリンス東北ではなかなかゴールが無かった。そんな中、22日の福岡U-18戦ではFWピドゥ大樹(2年)がPA内で倒されて得たPKをきっちり決め、今大会で公式戦初ゴールが生まれた。しかしながら、その場面以外で大きな見せ場はつくれず、「この大会で今季(公式戦)初ゴールはできたけど、それ以外に自分の長所や、チームのテンポを上げるプレーがあまりできなかったので、ほとんどが課題だったと思います」と今大会のパフォーマンスには満足いかない様子だった。 攻守で良いところをあまり出せず、3連敗という悔しい結果に終わったことを踏まえ、今後に向けては「自分たちがまずどれだけ基準を上げてやれるかどうかです。プリンスリーグ東北に向かって行く上で、もっと基準を上げてチームとしても個人としても高めていかなければいけません。そこは日常から変えるしかないので、強い覚悟を持ってやらなければいけないと思います」と危機感を口にする。 8月31日のプリンスリ東北再開初戦は、プレミアリーグプレーオフ出場権争いでしのぎを削る聖和学園との大一番があり、さらにその次はライバルの山形ユース戦が控えている。悲願のプレミアリーグ初参入のためには、この悔しい経験を糧にして、勝ち続けなければならない。 攻撃も守備も日常の基準を上げて、もっとチームを引っ張れる存在になれるか。横山がもう一段、成長の階段を上がれば、必ずやチーム状況は上向いていくことだろう。 (取材・文 小林健志)