「この世は終わりだと思っても、それでも人生は続く」大槻ケンヂが苦悩と向き合いながら音楽を続ける理由
ロックバンド「筋肉少女帯」のボーカリスト、大槻ケンヂさんは現在56歳。50代を迎えて老いを感じるようになり、さらに原因不明の病やうつの症状にも悩んだという。また、コロナの影響で以前のようにオーディエンスの反応がもらえないライブ活動になってしまい「もうダメだと思ったこともある」と語る。バンド結成から40年、たびたび発生する大きな災害や事件、事故にその都度向き合い、さらに自身が肉体的にも精神的にも苦しい状況を抱えることもあった大槻さん。それでもミュージシャンとして音楽を続けてきた理由を聞いた。(聞き手:荻上チキ/TBSラジオ/Yahoo!ニュース Voice)
舌痛症がきっかけでメンタルが悪化
――大槻さんは50代を迎えて老いを感じたと伺いました。ご自身の体力の衰えをどのように感じたのですか。 大槻ケンヂ: 僕より年上のポール・マッカートニーやミック・ジャガー、桑田佳祐さん、矢沢永吉さんとか、みなさんすごくお元気ですよね。この前、インターネットで筋肉ムキムキの長渕剛さんのCMを見たのですが、長渕さんは僕より全然年上なのに、あまりにすごくて尊敬しちゃいました。「こういう体になれば、2時間強のライブも全然楽にいけるんじゃないか?」と思ってジムで鍛え始めたら、首が痛くなっちゃって……。もともとの体が違うのかなぁと思いました(笑)。 子どものころも体が弱くて、原因不明の体調不良で学校を長期間休むこともあったんです。中学でロックに出会って、バンドを組んで40年。ロックをやってきたから、逆に今ぐらいの体力を温存できている、キープできているのかもしれないとは思いますよね。 ――この2年でメンタルを悪化させた時期があると聞きましたが、どういう状態だったのですか? 大槻ケンヂ: もともと舌が痛くなる「舌痛症」という原因不明の病気を持っていまして。僕の場合は、下の前歯の裏に舌先がいつも当たっていて、しゃべったり歌ったりすると舌が痛くなるっていう症状です。 最近になって、特効薬が見つかって。脳から痛みを出す指示が出ていて、それをシャットアウトする、ある種のうつ病の薬と同じ仕組みの薬なんだそうです。その薬を飲むようになって、代わりにそれまで飲んでいた睡眠導入剤を止めたら、今度は副作用でうつのような症状が出た時期もありました。でも、僕はうつ歴が長くて、たまにそういう状況があるので、いま振り返ってみて「あの時期もうつだったんだな」ぐらいな感じですね。