《ブラジル記者コラム》気が付いたら「移民大国ニッポン」=受け入れるか入れないか、しっかり選択を
永住する日系人は移民以外の何ものでもない
日本はすでに移民大国なのに、それを見て見ぬふりして自覚がないことに問題の根源にある。政治家らは言葉だけ「日本は移民を受け入れない」とウソを言い続けているが、実態はとっくになし崩しになっている。日系人向けの査証、技能実習生や特別技能制度を作って受け入れているから、322万人もの外国人が日本に住んでいる。 まずは「移民」の定義を日本でもはっきりさせるべきだと思う。国連経済社会局は《3カ月から12カ月間の移動を短期的または一時的移住、1年以上にわたる居住国の変更を長期的または恒久移住と呼んで区別するのが一般的です》(3)とする。 少なくとも1年以上の中長期間、外国に住んでいれば一種の「移民」だ。だが、日本政府は日本に20年住んでいようが、30年住んでいようが、あくまで「一時的な外国人労働者」だと言い張る。だから、彼らは移民ではないから定住化を促進するような受入れ政策は取れないという立場で一貫している。これはコラム子の見方からすれば大きな間違いだ。
技能実習生や特定技能は確かに年限が決められており、就労できる職業カテゴリーも限定され、家族帯同もできず、いずれ帰国することを前提にしているから、「一時的」といえなくもない。 だが、こと日系人に関しては1990年の入管法改正によって永住可能な査証が発行されており、職業選択の自由があり、家族帯同が可能だ。世界的な基準に照らし合わせてみればりっぱな「移民」だ。永住ができるビザを出しておいて「移民ではありません」という対応の方がおかしいと思う。 90年代から日本に住む在住20年、30年の日系人を移民として認めない方が、国際的な人権保護の観点から問題が生まれる。そこに日本社会の歪みがある。 本来は移民として受け入れるべき日系人なのに、学校も自治体もその受け入れをしてこなかったから、この30年余り日本で暮らしてきた彼らは、いびつな社会環境の中で暮らさざるを得なかった。その間に日本で生まれ育ってきた世代の中には、日本が移民政策を取らなかったことによる犠牲者が多くいる。それに気づいた多くの日系人は、日本を行き先に選ばなくなっている。