“激しすぎるお家騒動”に揺れる韓国K-POP界、大ブレイクした「NewJeans」は大丈夫か?
(韓光勲:ライター) K-POP界が揺れている。最大手の芸能事務所「HYBE(ハイブ)」で内紛問題が表面化し、当事者同士が激しく争っているのである。世界で大人気のガールズグループ「NewJeans(ニュージーンズ)」の活動が危ぶまれる事態となっており、心配しているファンも多いだろう。 「2024秋冬 ソウルファッションウィーク」のアンバサダーを務めたK-POPガールズグループ「NewJeans」 筆者はNewJeansの曲が好きでよく聴いており、今回の騒動を報じるニュースは連日追いかけている。本記事ではこれまでの報道をまとめつつ、「ミン・ヒジン氏がプロデュースしたNewJeansとは何だったのか」を考えてみたい。 ■ 日本でも人気爆発、「NewJeansおじさん」も話題に 今回の騒動で主人公となっているのは、NewJeansの所属レーベル「ADOR(アドア)」のミン・ヒジン代表である。 ミン氏はK-POP界では超有名なディレクターである。もともと、大手事務所「SM Entertainment」に所属。2000年代の後半からクリエイティブディレクターやアートディレクターとして、「少女時代」や「SHINee」「EXO」「Red Velvet」など、多くのグループのブランディングを担当した。2022年3月には、米誌『Variety』で「グローバルに影響力をもつ女性」にも選出されている。 彼女は2019年、「BTS」が所属するHYBEに移籍した。傘下のADORの代表として、NewJeansを全面的にプロデュースすることになる。
NewJeansは2022年7月のデビュー当初から爆発的な人気を獲得していった。音楽サイト「Spotify」ではこれまでに再生回数が累計10億回を突破し、ビルボートのチャートにもランクインを果たした。 日本でも人気が爆発。NewJeansにハマる中高年を指す「NewJeansおじさん」がSNSでも話題となった。2023年末の紅白歌合戦にも出場し、YOASOBIの「アイドル」に合わせて踊る姿が注目された。最近、日本デビューが決まったばかりだった。 NewJeansは音楽面だけでなく、宣伝方法、独自のアプリの開発やファッションなど、トータルコンセプトが注目されてきた。Z世代を中心に世界的な人気を博している「Y2K」(2000年前後のテイスト)を取り入れたファッションは、NewJeansが火付け役だと言っても過言ではない。K-POPという枠組みを超え、世界のポップカルチャーに影響を与える存在。それがNewJeansであり、彼女たちを全面的にプロデュースしてきたのがミン・ヒジン氏であった。 ■ パン・シヒョク氏を痛烈に批判した「世紀の記者会見」 今回の騒動で最初の報道が出たのは、4月22日だった。NewJeansの所属会社ADORに対して、親会社にあたるHYBEが監査に着手したというのである。ADOR株の80%はHYBEが所有している。HYBEは、ADORのミン・ヒジン代表らが独立を画策したとして監査権を発動したのだった。 4月25日、HYBEはミン氏を業務上背任容疑で告発すると発表し、代表辞任を求めた。HYBE側の発表によると、ミン氏はシャーマンの女性に、独立の方法や人事採用のあり方などを相談していたという。この辺りは朴槿恵(パク・クネ)元大統領の「崔順実(チェ・スンシル)ゲート事件」(2016年に表面化)を彷彿とさせるが、ミン氏側は「ただの知り合いだ」と全面否定しており、真偽のほどは分からない。HYBE側はこの時、「これ以上経営を任せられないほど深刻な問題が明らかになっているにもかかわらず、ミン氏が辞任に応じず、経営に深刻な支障をきたしている」とのコメントを発表している。