《ブラジル記者コラム》気が付いたら「移民大国ニッポン」=受け入れるか入れないか、しっかり選択を
「移民の一人一人に対して人間として正当な扱いを保障する」
JICA「海外移住統計」(8)によれば、明治元年から1942年まで、戦前に中南米・南方方面・北米に海外移住した日本人は77万6304人もいる。うちブラジル移民だけで19万人だ。満州移民や戦後移民を含めればさらに多い。 今現在、外国に在留する日本人は、外務省の海外在留邦人数調査統計2023年10月1日版(9)によれば、3カ月以上外国に住む邦人と永住者の合計は129万3565人もいる。 それだけの日本人が外国に移住している。日本人が外国にいって永住すれば、現地政府からは移民として扱われる。だが日本にいった外国人に同じ待遇はない。 『現代の理論』第18号にある神奈川大学名誉教授の橘川俊忠氏の「かつて日本は移民送り出し国であった」(10)は、次のような一文で締めくくられている。 いわく《かつて人口過剰を理由に、海外移民を推進し、海外に行ってしまえば自己責任とばかりに移民の保護を放棄してきた国が、今度は人口減少による労働力不足のために他国人を呼び込もうという国になった。その国の政治家・官僚・企業経営者達には、人間は口減らしの対象か、単なる労働力としか見えないのであろう。自国からの移民に対して政治的に利用することはしても、なんら保護の手段を講じようとしなかった国が、他国からの移民にたいして人間として正当な扱いをするようには到底思えない。 移民の歴史から学ぶべきことがあるとすれば、それは自国であれ、他国であれ移民の一人一人に対して人間として正当な扱いを保障すること以外にはありえない。そういう方向への第一歩は、まず移民の歴史を知ること、そして貧困や窮乏に結びつけられた移民についてのマイナスイメージを払拭することから始まるのではなかろうか》 橘川氏のこの重い一言は、まさに日本の〝移民政策〟を歴史的に考察した結論といえる。 海外在住日本人として思うのは、「我々は外国できちんと移民政策で対応してもらって社会生活を営んでいる。ところが日本にいる外国人は移民として扱われない。これは先進国であるはずの祖国として恥ずかしい」という思いが強い。日本は『外国人労働者の受け入れを本当に辞める』、もしくは『移民として受け入れる』のどちらかをはっきりとすべきだと思う。(深) (1)https://www.pref.gifu.lg.jp/uploaded/attachment/374996.pdf (2)https://www.nippon.com/ja/in-depth/d00814/ (3)https://www.unic.or.jp/news_press/features_backgrounders/22174/ (4)https://www.moj.go.jp/isa/publications/press/13_00036.html (5)https://www.globalnote.jp/post-3818.html (6)https://ecodb.net/ranking/unms_pot.html (7)https://agenciabrasil.ebc.com.br/geral/noticia/2021-12/numero-de-novos-imigrantes-cresce-244-no-brasil-em-dez-anos (8)https://www.jica.go.jp/jomm/outline/library/ku57pq00000lx70u-att/statistics.pdf (9)https://www.mofa.go.jp/mofaj/files/100436737.pdf (10)http://gendainoriron.jp/vol.18/feature/f12.php