習近平、欧州訪問も「総スカン」でむしろピンチに…「過剰生産」で経済を破壊する中国に世界から非難集中
欧州が警戒していること
習近平国家主席は約5年ぶりに欧州を訪問した。今回の目的の一つは、中国の過剰生産能力に関する欧州の警戒を和らげることだったようだ。 【写真】これはヤバすぎる…中国で起きた「100年に一度の大洪水」! それに対して、欧州の首脳は厳しい認識を示した。それは、習氏と会談したフォンデアライエン欧州委員長の発言からも確認できる。記者会見で同委員長は、「中国は電気自動車(EV)を補助金で不当に支援している」と述べた。 同氏は、事態の改善が見られなければ「対抗措置を取る」と明言した。リーマンショック後、中国はEVの基礎資材やバッテリーなど幅広い分野で補助金など支援策を強化した。 それによって、中国企業の価格競争力は向上した。産業政策を支えに供給力は国内需要を上回り、過剰生産能力も増大傾向だ。価格競争力は上昇し、中国企業は世界シェアを急速に高めた。
ドイツも懸念している
中国の過剰生産能力、それを助長する産業政策をめぐる欧州委員会、米国の危機感は強い。それに対し中国は、いまのところ産業政策に問題なしとのスタンスだ。今後、貿易摩擦は一段と過熱することが懸念される。 欧米諸国は自国企業の利益、国内の雇用を守るため、中国に対抗措置を発動し世界的な貿易戦争が起きる恐れもある。わが国の企業はそうしたリスクに備えることが重要だ。 今年4月以降、米国や欧州連合(EU)加盟国の政府関係者は、相次いで中国の過剰生産能力に強い懸念を示した。4月上旬、米国のイエレン財務長官は中国を訪問し、何立峰副首相と会談した。 そこで伝えた内容は、「中国の電気自動車(EV)などの過剰生産は世界経済の下振れ要因になる恐れがある」だった。 4月中旬、中国を訪問したドイツのショルツ首相も慎重に懸念を表明した。上海で同氏は、ダンピング(不当廉売)や過剰生産、知的財産権の侵害は容認できないとの見解を示した。 ドイツは、中国向けの自動車輸出などを増やし経済成長を実現した。そのドイツでさえ、中国の補助金や土地の供与、技術の強制移転などで過剰生産能力による輸出ドライブの産業政策は容認できなくなった。