なぜ阪神は“誤審疑惑”もあった巨人との“大一番”に1ー0勝利できたのか…才木の直球勝負と坂本3度の“ブレーキ”…その裏には岡田監督の助言が隠されていた
トラが誇る1、2番コンビは菅野に起きた小さな心理的な動揺を見逃さなかった。 続く近本への初球がボールになると小林がマウンドに駆け寄った。おそらくはサインの徹底と、8月の月間MVPで9月も調子をキープしている近本との勝負か、第一打席も三振で、まだ打率.230と調子が上がってこない中野との勝負か、の選択を確認したのだろう。 ネクストの中野は「近本さんが歩かされるかなと思っていた。自分で勝負にくるという気持ちで準備していた」という。 菅野は近本との勝負を選び、近本はフルカウントから三遊間にピンポイントで狙い打った。しかし、レフトの長野、岡田監督が「序盤なのに1点勝負みたいにだいぶ前進していた」と驚くほど前を守っていた。木浪は三塁でストップした。 中野は、カウント1-2からフルカウントまで粘った。2球連続でストレート勝負してきた菅野が、2度、首をふって選択したのはスライダーだった。ストレート、フォークの2つの球種を嫌ったのかどうかはわからない。ただ菅野は四球になる可能性のあるボールよりも、ストライクが取れるボールで勝負したかったのだろう。だが、そのボールは甘くなり、中野はコンパクトに対応した。満員の甲子園をヒートアップさせたライト前タイムリーが結果的に勝負を決める“虎の子”の1点となった。 「追い込まれてからも何とか食らいついて良い形で粘っていた。後ろにつなごうという意識を持った結果が良い結果になった」とは、中野の試合後コメント。 阿部監督は7回一死から菅野に代打を送らず完投させた。 ベンチに帰ると自ら駆け寄って感謝の意を示した。前日の広島戦で逆転負けを食らった中継ぎ陣にプレッシャーをかけたくないという菅野の志願の続投だったという。しかし、その菅野の激投も、ゲラ、岩崎が8、9回を2日続けてパーフェクトに封じ込めて、空回りさせた。9月に入り巨人とのゲーム差は最大「5」あったが、ついに「1」に縮まった。間違いなく勢いは阪神にある。 それでも岡田監督は「試合数も残り少ない。一戦一戦、なんとか勝ちを拾っていくだけ」と、平常心を強調した。 今日の先発は、復帰後、4勝0敗と負けなしの高橋で対する巨人はグリフィン。 「もう自分の球を信じて思う存分、ストライクゾーンに投げ込んで欲しい」 指揮官は、頼れるサウスポーにそうメッセージを送った。 勝てば勝率ではまだ届かないがゲーム差はゼロとなり、その後の条件次第で、25日にも阪神のい自力Vが復活し、逆マジックが点灯する可能性がある。
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