なぜ阪神は“誤審疑惑”もあった巨人との“大一番”に1ー0勝利できたのか…才木の直球勝負と坂本3度の“ブレーキ”…その裏には岡田監督の助言が隠されていた
才木は「やべえなと思った」という。 才木―梅野のバッテリーの気持ちを後押ししたのが、岡田監督の「もっとインコースに投げ込め」という言葉だった。 1回に丸に二塁打を打たれたのは高めにスッポ抜けたスライダー。坂本にもフォークが落ちていなかった。この日の才木は、スライダー、フォークが、制御できずキレもなかった。だが、不思議とストレートの球威だけはあった。 配球には2つの基本がある。データから打者の弱点を突く相手本意の配球と、自分の得意なボールで組み立てる自分本位の配球。それをうまく組み合わせるのが理想だが、どっちつかずの中途半端になるのが最悪パターン。その日「悪いボール」を相手の弱点に使えば墓穴を掘る。岡田監督は「良いボール」を使うことと同時に最も重要な「逃げない心」を伝えた。 才木―梅野のバッテリーの迷いは吹っ切れていた。 ここまで2安打を許していた長野にインハイへストレートで勝負した。 おそらく長野はそれを狙っていた。だが、才木の球威が上回り、ファウルにもならずにバットをへし折っての投手フライ。プロ野球の「無死満塁あるある」ーは「先頭打者を抑えれば無失点に終わる」ーーである。 そして続く坂本にも2球連続のストレート勝負。148キロ。ほぼど真ん中だった。坂本は、またその気迫にあふれたストレートに押された。打った瞬間に悔しさを表した。またセカンドフライ。続く阿部監督は、門脇に代えて代打の切り札の大城を送ってきた。才木は梅野のサインに首を振った。選んだのはまたストレート。大城は捉えたが、センターへの打球はフェンスの手前で失速した。 岡田監督は「よく力で抑えた」と才木を繰り返し絶賛した。 SNSでは3回一死一塁から才木の打席での“誤審疑惑”が話題となった。 ベンチのサインは当然バント。1、2球と続けてバントを仕掛けたが、変化球にバットが当たらない。追い込まれて3球目もスライダー。才木はバットを直前に引いた。菅野が右手をクルクル回してスイングをアピールしたが、審判の判定はボール。これはバットを引いていたが、ボールそのものをストライクと判定してもおかしくなかった。そして疑惑判定騒動になったのが4球目だった。外角へのカットボールに才木のバントはボールに当たらなかった。かすかにバットを引いたがタイミングは遅く、なにより才木自身が三振だとセルフジャッジして、一度、ベンチに戻りかけた。だが、一塁塁審の判定はセーフ。朝日放送の中継アナウンサーが「ええ?」と思わず声をあげたほどだった。菅野は、不満を表情と態度で示したが、ストライク、ボールの判定はリクエストの対象ではない。才木は気を落ち着けて5球目にバントを成功させた。 評論家の1人は「シロかクロかと聞かれれば誤審だと思う。こういう大事なゲームであってはならないことだが、審判も人間。ハーフスイングに関してはリクエストの対象にしてもいいのかもしれない」と提言した。
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