「なんで死なせてくれないんだっ」自ら包丁でお腹を切ろうとした30代ひきこもり女性の過去からの再生…「私の生きてきた形跡は無駄になってない」と始めたあることとは
自分を生かしてくれるもの
今でも死にたい気持ちが完全になくなったわけではない。緊張したり疲れて睡眠不足が続いたりすると、“光と闇のバランス”が崩れて、「何もかも投げ出したい」という闇の気持ちが爆発的に増えてネガティブな状態になったりするのだという。 「真っ黒い感情だけどキラキラにまばゆく輝いて見えるから死にたくなってしまう、希死念慮ですね。真っ黒いキラキラと呼んでいます。恋こがれ過ぎちゃって、なんかよくわかんないものに変わりましたけど(笑)」 気持ちがたかぶると薬を飲むのだが、ひどくなると薬を飲むこと自体、忘れてしまうので、自室にはメモや付箋が何枚も貼ってある。 〈たかぶったら薬を飲め〉〈黄色信号になったら、○○さんに相談〉〈電話番号は××〉 対処法を細かく書いたノートも用意してあり、「お守りノート」と呼んでいる。 「ぶいねっとーくをやって、参加者に『楽しかった』って言われると無上の喜びを感じるんですよ。助けてくれる仲間がたくさん集まったのも、本当にうれしくて。 私の生きてきた形跡は無駄になってない。みんなが楽になってくれて、うれしいっていう気持ちは何物にも代えがたい幸せで、この気持ちは今、私を生かす方向に動いてくれています。 さすがに今、死ねないっす。たくさんの人を悲しませるしね」 人に傷つけられ絶望した白石さんだが、救ってくれたのもまた、人とのつながりだった――。 取材・文/萩原絹代
萩原絹代
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