「なんで死なせてくれないんだっ」自ら包丁でお腹を切ろうとした30代ひきこもり女性の過去からの再生…「私の生きてきた形跡は無駄になってない」と始めたあることとは
家にいても参加できる居場所を
自分を支えてくれた支援職に憧れを抱いた白石さん。社会福祉士の資格を取りたいと大学に入り直して福祉を学んでいる。 「できることなら昔の自分に、『今すぐ逃げろ!』って言ってあげたいです。休むのは恥ずかしいことじゃないし、怖いことから逃げていいって。症状が発生するまで我慢するとか、一切やめていいよって。 私をいじめていた人たちのことも、昔は恨みがすごかったけど、今は恨む気持ちはほとんどないです。それがあったから、他の人の辛い気持ちを想像したり寄りそったりできるようになったから」 強がりではなく心からそう思っているのだろう。白石さんの表情は晴れやかだ。 大学を卒業したら、これまでの経験を活かし、親と子の間に立って、おたがいの気持ちを代弁したり寄りそったりする仕事をしたいと考えている。 3年前に「V福祉プロジェクト」という団体を立ち上げて、Vtuberとしても活動をしている。始めたきっかけは、ひきこもっていたときの「寂しさ」だという。 話をする練習がしたくて、最初は声だけで発信できるアプリに挑戦。その後、キャラクターを動かしながら話してみたら楽しくてハマってしまった。家から出なくても参加できる居場所を作り、楽しいことを配信して福祉に興味を持ってもらうことが狙いだ。 毎月開催している「ぶいねっとーく」では、オンラインでできるボードゲームをしたり、テーマトークをしたり。参加者の中にはひきこもりの人も多くいるそうだ。 活動を始めた裏には、退院後に自分が初めて居場所に参加したときの苦い思い出がある。 「ご飯を作って食べる会でしたが、怖くて怖くて、味もしないご飯を食べた後、お腹痛くて、吐いちゃいました。そのとき、やっぱり家から出る最初の一歩はハードル高いと思ったんですよ。 それでオンラインで話ができたらいいんじゃないかと。自分が苦しかったときに、あったらよかったなと思うことを全部詰め込んで作っています」 運営メンバーは50人ほど。会社員、接客業、歯科技工士、ソーシャルワーカー、臨床心理士など職業もさまざまで、ボランティアで手伝ってくれている。参加者の中に助けが必要な人がいる場合、個人の判断で悩みを聞いたりせずに、連携している福祉支援サービスにつなぐようにしている。
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