意外とわからない「発達障害」と「個人差」の違い…「発達障害の子ども」も「発達」する
発達障害の新たな分類
筆者は現在、発達障害は四つのタイプに大別されると考えている(詳しい表はぜひ書籍でご覧ください)。 第一のグループは認知の全般的遅れを示す精神遅滞と境界知能、第二のグループは社会性の障害である広汎性発達障害(自閉症スペクトラム)、第三のグループはいわゆる軽度発達障害で、行動のコントロールなど、脳のある領域の働きと他の領域の働きとの連動に際して障害を生じるタイプであり、注意欠陥多動性障害(ADHD)や学習障害(LD)、発達性協調運動障害が含まれる。第四のグループは子ども虐待にもとづく発達障害症候群である。 ここで子ども虐待が登場することに驚かれる読者が存在するかもしれないが、子ども虐待は、先の発達障害の定義にきちんと合致する。それぞれのグループについて、できるだけわかりやすく説明してみたい。 ※本書で取り上げられている事例は、公表に関してはご家族とご本人に許可を得ていますが、匿名性を守るため、大幅な変更を加えています。
杉山 登志郎