前記録保持者の元近鉄監督が語る阪神ドラ1佐藤輝明の実力「王さん、イチロー級…今年は25~30本。3年目に3冠王を狙える」
佐々木氏は、新日鉄広畑からドラフト1位で近鉄に入団。オープン戦では、広島の外木場義郎氏、中日の星野仙一氏、三沢淳氏、ヤクルトの変則アンダースロー、会田照夫氏らから5本塁打をかっとばしたが、実は、プロの壁を感じていたという。 「社会人では長距離バッター。プロでもホームランも打てるかなとオープン戦を迎えたが外木場さんは真っすぐもキレてカーブも大きかったし星野さんも球威があった。これは、よほど性根をすえないと苦労するなと思った。オープン戦では5本を打ったけれど、1本はコーンと打つが、あとの3打席の内容がたいしたことがなかった(笑)。せめて4打席のうち2打席に内容があれば、手ごたえもつかめたのだろうが、4の1じゃ話にならない」 開幕のロッテ戦では「三塁・6番」でスタメン抜擢された。4番は土井正博、5番は伊勢孝夫氏だった。佐藤は「右翼・6番」を予定されており、そのストーリーは似ている。だが、佐々木氏は、開幕11試合でスタメン落ち、5番に抜擢された試合もあったが、故障などもあって、1年目の成績は、53試合、打率.246、5本塁打、12打点に終わっている。 プロの洗礼を受けた。 「レギュラーシーズンに入って、ふところも攻められた。ベースから立つ位置に少し距離を置いて打球を飛ばそうとしたが、外の変化球にはついていけない。足に大きな肉離れをやって試合にも出れなくなった。ベースに寄り、アウトコースを真ん中にする感覚でないとプロでは飯が食えないとオープン戦から夏までに感じ、アベレージを稼ぐにはどうすればいいかと考えてバッティングスタイルを変えたんだよね」 佐々木氏は、1年目の夏以降にバッティングスタイルを長距離狙いからアベレージ狙いへと変えた。バットを短く持ちベースに近づきコンパクトに振った。レギュラー定着は3年目。4年目に打率.305を打ち、首位打者を獲得したのは7年目だった。 ヤクルトがオープン戦で仕掛けたようにライバル球団が本番に入って“内角攻め”をしてくることは十分に考えられる。佐々木氏も「おそらく佐藤も間違いなくふところのもっと厳しいところを攻められる。当ててもいいから行け!というくらいの指示は出る。軸をずらさせ、のけぞらせ、崩すならそこからだからね」と見ている。 しかし、「佐藤は頭がいいし対応力があるので克服していけると思う」と楽観視している。