虎の“怪物新人”佐藤輝明は「打たされている」のか…OP戦の本塁打記録はシーズンの結果に直結しないというデータ
阪神のドラフト1位、佐藤輝明(22)のバットが止まらない。オープン戦8試合に出場して12球団トップの4本塁打で打率.370も4位。その実力に疑いの余地はないだろう。問題は、シーズンでどこまでやれるのか。新人では初となるOP戦本塁打王も見えてきたが、“非公式試合”の結果が本番に直結するわけではない。佐藤は打たされているのか、それとも…。
新人のOP戦本塁打王を獲得すれば長嶋茂雄氏以来
“虎の怪物ルーキー”は打席に立つ度に過去の歴史帳をめくりかえしつつある。5日のソフトバンクとのオープン戦初戦では、開幕投手の石川から初打席初本塁打。阪神の新人としては1987年の八木裕以来、34年ぶり。14日の巨人戦では左腕の高橋優から早くも4号。ファウル判定がリクエストで覆ったものだが、1972年に望月充氏が作った3本の球団新人OP戦最多記録を49年ぶりに更新した。過去にOP戦で4本塁打以上をマークした新人は1972年の佐々木恭介氏(近鉄)の5本、1989年の大豊泰昭氏(中日)の4本に次いで3人目だ。 現在の4本塁打は12球団単独トップ。長打率の.852も「出塁率+長打率」でチームへの貢献度を示すOPSも1.245で1位だ。打率.370は4位、6打点も4位につけている。 もし佐藤がこのままトップを守りOP戦本塁打王となれば、1958年の長嶋茂雄氏(巨人)が7本を打って以来、63年ぶりの快挙となる。ドラフト制導入後では初だ。長嶋氏は、シーズンでも29本塁打を放ちタイトルを獲得しているが、オープン戦の本塁打記録は、シーズンの結果に直結するのだろうか。 元千葉ロッテの評論家、里崎智也氏は否定的だ。 「過去にオープン戦の本塁打王のうち何人が本番でタイトルを取りましたか?オープン戦の首位打者はどうですか? すでに実績のある選手は別にして、外国人や新人などの新戦力のオープン戦の結果はまったく参考になりませんよ」 ここ数年の“OP戦本塁打王”の結果を追跡してみるとこうだ。 【2020年】中島宏之(巨人)4本→7本、オースティン(横浜DeNA)4本→20本【2019年】大田泰示(日ハム)5本→20本、陽岱鋼(巨人)5本→4本【2018年】バレンティン(ヤクルト)6本→38本、(ソト41本)【2017年】高山俊(阪神)4本→6本、大谷翔平(日ハム)4本→8本。ダフィー(ロッテ)4本→6本、白崎浩之(横浜DeNA)4本→0本【2016年】柳田悠岐(ソフトバンク)5本→18本【2015年】ミレッジ(ヤクルト)5本→1本【2014年】柳田4本→15本【2013年】柳田6本→11本【2012年】ホワイトセル(ロッテ)3本→9本 柳田の2013、2014年はまだブレイク前。2016年は34本を打った翌年で落ち込んだ年。OP戦の調子が本番と直結したのは、昨年の横浜DeNAのオースティンと2019年の大田、2018年のバレンティンくらいだろう。