「年末年始も休まず営業します」は時代遅れ…「365日働く日本人」から撤退した"先進的企業"の英断
■24時間営業をやめたいコンビニ3社 年始休業は象徴的な事例だが、これまで「24時間365日営業」が前提であったコンビニエンスストアでも、深夜休業や時短営業に切り替える動きが出ており、昨今の各社の動向は次のようになっている。 ・セブン‐イレブン ⇒2019年からガイドラインを策定し、深夜休業を正式に開始。現在は100店舗以上で深夜休業しているうえ、約500店舗で時短営業の実験を継続中。加盟店アンケートでは約2100店(全体の1割強)が時短実験を検討しているとのこと。 ・ローソン ⇒2020年2月時点で176店舗が深夜休業を実施。「時短パッケージ」契約形態を導入し、74店舗が採用。横浜市内のFC店では0時から5時まで無人店舗の実験を実施。 ・ファミリーマート ⇒2020年3月から加盟店の判断で時短営業を決定可能に。加盟店調査では約7000店(回答店舗の半数)が時短実験を検討とのこと。23時から翌7時までの間で30分単位で休業時間を選択可能。 ■「年中無休営業」の始まりは50年前 これらの動きの背景にあるのは、深刻化する人手不足だ。小売業界全体で人材確保が難しくなる中、従業員の労働環境改善は喫緊の課題となっている。年始の休業日を増やすことで、従業員や取引先にとってより働きやすい環境を整えることが、この決定の主な目的である。 また、2018年から段階的に進展している働き方改革にまつわる法改正や、それに伴う各社の労働時間管理の厳格化などの影響もあって、消費者側の考え方も変化し、正月休業や時短営業は徐々に受け入れられてきているようだ。 一連の動きは、日本社会全体に蔓延する「年中無休営業」文化への問題提起ともいえる。 実は、わが国でコンビニエンスストアが登場した当時は24時間営業でなかったことをご存知だろうか。24時間営業の店舗が初登場したのは1975年、セブン‐イレブンが福島県内の店舗で24時間営業を開始したところから。同時期に、吉野家やすかいらーくなどの飲食業も24時間営業を始めたことが、日本における年中無休営業の嚆矢といえよう。 「24時間戦えますか」というキャッチコピーに象徴されるバブル期以降、若年層を中心に深夜~早朝の利用ニーズが高まり、コンビニエンスストア側でも宅配便や収納代行、24時間ATMなどのサービスを拡充していったことで、「社会のインフラ」としての存在価値が高まっていった。2008年時点で、主要コンビニチェーン12社のなんと「94.4%」が24時間営業を実施していたのだ。