「夢や目標がなくても楽しい」ピエール瀧とYOU、寄り道が作る「自分らしさ」の足跡
YOU:でもさ、あの後コロナ禍になって、結局あたしも仕事が休みになっちゃったじゃない? 瀧は何してたの? 瀧:お休みのときは……家のことやってた。新しいものを始めるって選択肢もあったけど、やってみてうまくいかないと、やっぱりしんどいでしょ? 家事とか、料理とか、今まで家でやってたことの精度を上げようかなと思って。 YOU:前から料理してたんだ。何を作ってくれるんですか? 瀧:低温調理器を導入して、ローストポークを仕上げてみたりとか(笑)。 YOU:マジで。 瀧:ちゃんとレシピに書いてある通り、分量をきっちり量って、言われたようにやろうと思ったの。日本酒ドボドボ!って感じだったのを、「大さじ2杯か」って。そうしたらやっぱり、仕上がりが違うのね。なんか、ラボみたいな感じで面白いなと。 YOU:あたしもずっと家にいたし、真面目に料理してたな。一人だったらたぶんやってないんだけど、息子がいるからちゃんと作ってたよね。 瀧:変な言い方だけど、ずっと家にいたことで「行間が長くてもいいんだ」って思えた。もちろん、困っている人もいるし、しんどい思いをされている方もたくさんいるんだけど、「やらねばならん」というモードから、一個ギアを落としてもなんとかなるんだなって。 YOU:瀧はさ、それまですごい量の仕事してたじゃない? 家族と過ごす時間とかはあった? 瀧:当時は本当に忙しくて、家族が寝ているときに帰ってきて、起きる前にそーっと出ていくことも結構多かった。子どもが小学生のころは運動会とかも行ってたけど……。なんだろう、子どもにとって理想の「いいパパ」があると思うんだけど、お父さんを初めてやるからさ、家にいても結局何が正解かわからないんだよね。 YOU:それはちょっと言いたいよね! うちもあるよ。「こっちも初めてなんだよ」って。
瀧:将来子どもから「あの時はさ!」って言われることもあると思うの。でも「俺も初めてやるから、わからなくてごめんな」って返すしかないこともあるなって。 YOU:あたしもホントにわからなくて。異常に厳しくしちゃったり、抜けてたりしたところもきっとあるし。8人くらい育てればわかるのかな……でも、8人全員違うだろうからやっぱりわからないか。