「夢や目標がなくても楽しい」ピエール瀧とYOU、寄り道が作る「自分らしさ」の足跡
瀧:何かをまとわなくてもよくなったんだ。 YOU:そうそう。年齢的におばあちゃん役だったりするの。それってリアルに近いから、そのまま出ちゃってるんだと思う。瀧は、ヤクザとか怖い人とかの役が多いよね。やっぱり似合うしね。 瀧:まぁ「昭和顔」だと言われますけども(笑)。呼んでもらえるのは、雰囲気が役に合ってるからだろうと思うし、あとたぶん、2人ともがっついてないのもあるのかな。「ここで自分の評価を上げよう」とか思わないし。 YOU:「また呼んでもらおう」とか、「これを観た人に認めてもらおう」とか、そういうことは一切考えてない。その場でできることを頑張る。評価って、自分で決めることじゃないから。 瀧:逆に、「こうすれば次も呼ばれるはず」という“答え”が出るようになったら、終わりなんじゃないかな。 YOU:ね。そんなこと考えるんだったら、せりふをちゃんと読み込みなさい、と。 瀧:“答え”があると、「自分のいいところはここなんだ」って現場で出しにいっちゃう。でも、現場には現場の「ほしいもの」がやっぱりあるわけで、それは映画でもバラエティーでも同じ。場で求められるものに、いかに応えられるかなんだろうなと思うよね。
コロナ禍で気づいた、「一個ギアを落としてもなんとかなる」
2019年、瀧は麻薬取締法違反容疑で逮捕され、有罪判決を受けた。さらに翌2020年には、新型コロナウイルスが猛威を振るう。仕事がキャンセルになり、2人ともステイホームを余儀なくされた。 YOU:もう、すごい昔の気がするけど……。逮捕されたときはそこまで心配してなかったのね。友達だし。ただ、「会いたいな」って思って。 瀧:連絡くれたもんね。 YOU:周りがワーワーしてたから、ちょっと落ち着くのを待ってね。で、「ご飯食べに行こうよ」って誘ったら、瀧が「きたろうさんに会いたいなぁ」って言うから、3人でご飯食べに行った。
瀧:以前と全然変わらない感じで接してくれたから嬉しかったよ。別に説教するわけでもなく、普通にご飯食べる感じで。そういうことをしてくれた人って、付き合いが長い人ばかりだった。何年も連絡とってなかった人が、家に来てくれたりとか。こういう人たちに見守られてるんだなって。 YOU:そうだよ。ありがたがって? 瀧:……ありがとう。 YOU:……いいよ。 2人:(笑)