「夢や目標がなくても楽しい」ピエール瀧とYOU、寄り道が作る「自分らしさ」の足跡
砂浜に残った足跡を振り返って、初めて「自分らしさ」が分かる
30年以上のキャリアを重ねた今も、2人は「目標を設定したことがない」「行き当たりばったり」と話す。無理に背伸びをすることなく、目の前の仕事を楽しむ。その姿は「自分らしい生き方」を体現しているように見える。 YOU:デビュー当時、夢や目標を聞かれて「別にないかな……」って答えると、周りにすごい驚かれたの。意味がわからないと。あたしは逆に、夢や目標に向かっていく人たちがとても新鮮で。すごくかっこいいし、一緒に仕事をしても面白くって、出会うたびに「あたしにはないなぁ」って実感してた。別に平気なんだけどね。「しょうがないや、ないもん」って。 瀧:ないものはないっていうね。 YOU:そう。……あ、でもあった。目標。「こんな感じで生きていけたらいいな」っていうのは、ずっと思ってる。 瀧:そうだねぇ。今日話してみて思うけど、我々って結局、寄り道の産物じゃん? YOU:えぇ、そうですね(笑)
瀧:どこかに向かっていたわけじゃなくてさ、ふらふら歩きながら、「この茂みなに?」ってのぞいたり、「なんか箱があるから開けてみよ」って開けたり、それで「へぇ~」ってやってたら、こうなったわけじゃない。これはこれでさ、そんなに悪くないよね? YOU:超楽しいよ。フラフラするの好き。 瀧:夢や目標を持つこと自体は、とても素晴らしいことだと思う。でも……目標に全ての視野を集中しちゃうことで、かたわらに落ちているいろんな花や宝石に、目がいかなくなっちゃうこともあるんじゃないかな。 YOU:うん、うん。 瀧:「きれいな花が咲いてる!」とか「野いちごだ! すっぱ~い」とかやってると、「君さっきから楽しそうだね」っていう人に出会えたりするからさ。「一緒にお肉でも焼かないかい?」って誘われて、ついて行ったりしてね。で、それがきっかけで後の“焼き肉王”になった……みたいな道だってあると思うんだよね。 YOU:向き不向きもあるんじゃない? 若いときはわからなかったけど、あたしは寄り道がすごく性に合ったんだなって今は思う。ずいぶん長いことやらせていただいてるけど、ずっと楽しいから。