根附海龍「世界ではまだアマチュア。トップスケーターになりたい」
実力を急激に伸ばしている彼は、世界選手権という大きな舞台で、昨年、初めて銀メダルを獲得した。(雑誌『ターザン』の人気連載「Here Comes Tarzan」No.874(2024年2月22日発売〉より全文掲載) [画像]根附海龍選手
世界選手権で技が評価され、世界に通用することがわかってきた
静岡市にある東静岡アート&スポーツヒロバ。その日、根附海龍は多くのセクション(構造物)を自由に、楽しみながら滑り続け、華麗な技を披露した。見る側にとって驚きの連続だった。 彼は、昨年末に東京の有明コロシアムで開催されたスケートボード・ストリートの世界選手権で銀メダルを獲得した。そして、試合前には一つの思い、いや確信を抱いていた。 「勝ち方がわかってきたんですよ」 スケートボード・ストリートの世界選手権はシリーズで行われる。根附はその第1戦で23位、第4戦ではいきなり4位へとランクアップを果たした。その過程で、どうすればジャッジに響き、高得点が獲れるかが、わかり始めたと言うのである。 「ランのときの構成。技の一つひとつの難易度も大事ですけど、それらをどううまく繫げられるかというところが、すごく大事。そこを変えるように意識したら点数が出るようになった。あー、こういうことかってわかったし、それはよかったです」 スケートボード・ストリートは持ち時間45秒で自由に技を展開させる“ラン”と、大技の一発勝負で得点を競う“ベストトリック”で構成されている種目だ。今、根附が話したのはランでの45秒のうまい使い方がわかったということである。そして、もうひとつ。慣れが重要だと話す。 「世界的な大会に初めて出たときは、やっぱり見たことがあるスゴイ人がいっぱいいるから、雰囲気とかに持ってかれちゃったけど、今はそれがなくなった。日本人(選手)の友達もいるし、みんなと話しながら、いつも通りみたいな感じでできるようになりました。本当にいつもと同じにできることが理想なんですよね」 試合に慣れ、平常心を保つことも覚えた。ただ、スケートボードの女神は、そうやすやすとは根附に微笑んではくれなかった。翌日からの世界選手権では苦難が待っていたのだ。