根附海龍「世界ではまだアマチュア。トップスケーターになりたい」
ランプを滑ることが、小学生のときは怖かった
7歳のときに母親の勧めでスケートボードを始める。両親の傾倒ぶりは目を見張るほどで、根附が小学校4年生ぐらいのときに、自宅にランプまで作ってしまう。ランプは楕円を半分に切ったようなカタチで、その床を上下に滑る。彎曲した場所でバランスを取るのは非常に難しく、それだから上達にはもってこいなのだが、逆にいえば転倒しやすい。 「けっこう、スケボーにハマっていたので、作ってくれたんですが、小学校のときはこれを滑るのが怖かった。でも、親は攻めるタイプで、自分が小さいときはあれやれ、これやれってすごい言われて、そんなときにはやめたいと思ったことも、ちょっとですがありましたね(笑)」 だが、両親の献身はいかんなく発揮される。大会があれば車で連れていき、常に寄り添ってくれた。そして、中学生になると多くの大会で勝てるようになってきた。 「プロを目指せるぐらいになったときから、だんだん自分でやるようになりましたね。親はまぁわかってなかった(笑)っていうか、できなかったことですから。自分の方が、自分のことはわかっていますからね」 近くに青木勇貴斗という選手がいたことも大きかった。毎日のように2人だけで練習するようになった。 「勇貴斗は本当に上手かった。それを見て刺激になって、自分も上手くなったって感じです。だから、彼が(東京オリンピックで)予選を通過できなかったのには、少し驚きました。 彼は大会とかであんまりミスをしないイメージだったから。ただ、普段の勇貴斗って感じじゃなかった。凄い緊張でガチガチになってたんです。いつもの技をやっていれば、予選は通ったと思う。 エックスゲームズとかSLS(世界最高峰プロツアー・ストリートリーグ)も凄いと思うんですけど、“やっぱりスケーター以外の人も見ているから、いつもの雰囲気とは違う”と言っていた人がいた。なるほどと思いましたね」 現在、根附はランキングで日本3位である。上位3位までがオリンピックに出場できるから、このままいけばパリも決して夢ではない。 ちなみに、東京オリンピックで金メダルを獲った堀米雄斗は4位。このことは日本のスケートボードの層の厚さと実力を、はっきりと示している。