「眼瞼下垂」の治療法を医師が解説! メスを使わない手術があるって本当?
眼瞼下垂の治療法
編集部: 脳や神経に問題がある場合もあるのですね。 蓮見先生: そうですね。脳梗塞や動眼神経麻痺などの症状として眼瞼下垂が起こることもあります。早急な対応が必要となるので、眼瞼下垂が急激に発症した場合や、手足の麻痺や喋りにくいといった別の症状も出ている場合などは、救急外来などを受診することをおすすめします。 編集部: 通常の眼瞼下垂には、どのような治療法がありますか? 蓮見先生: 原因や症状の程度などにもよりますが、基本的には手術療法が検討されます。 編集部: 眼瞼下垂の手術について、詳しく教えてください。 蓮見先生: まぶたの皮膚がたるんでしまい、まぶたが垂れ下がってくるタイプ(眼瞼皮膚弛緩症)の眼瞼下垂に適した手術として、眉毛下皮膚切除法(眉下切開)があります。まぶたの皮膚を切除し、縫い縮める手術で、約5cmの術創(傷)ができますが、数カ月で目立たなくなります。 編集部: ほかの手術法もあるのですか? 蓮見先生: まぶたを持ち上げる筋肉である上眼瞼挙筋がまぶたから外れているタイプ(腱膜性眼瞼下垂)の眼瞼下垂は、上眼瞼挙筋を周りの組織から剥がし、まぶたの中にある組織に縫いつける挙筋前転法が選択されます。筋肉の動きがまぶたに伝わるようになるので、しっかりと開くようになることが期待できます。
切らない眼瞼下垂手術
編集部: メスを使わない治療法があると言うのは本当ですか? 蓮見先生: そうですね。先ほどの2つの術式も、日帰りで手術が可能な負担の少ない手術ではありますが、全く皮膚を切開しない眼瞼下垂手術もあります。 編集部: どのような手術ですか? 蓮見先生: 皮膚弛緩の少ない軽度の眼瞼下垂に対して、まぶたの裏側からミュラー筋を縫い縮めることで、挙筋前転と同じように眼瞼下垂の治療効果が期待できる手術です。皮膚を切開しないので手術時間が短く、腫れなどが引くまでのダウンタイムも短いため、仕事を休みづらい人や接客業など見た目が大事な人におすすめの術式です。 編集部: 眼瞼下垂を手術すると、その後に眼瞼下垂にならないのでしょうか? 蓮見先生: 眼瞼下垂は加齢によって進行していくケースが多いので、手術後も年齢を重ねていくうちに眼瞼が下垂していくことはあります。再発してしまった場合、再手術は可能ですが、同じ場所を手術する場合は、手術に時間がかかる可能性や、腫れが長引く可能性があります。 編集部: 最後に、読者へのメッセージをお願いします。 蓮見先生: 眼瞼下垂は、まぶたが下がってくる疾患ですが、見え方以外にも、おでこのシワや頭痛、肩こり、首こりなどの様々な症状を引き起こします。治療は基本的に手術療法が選択されますが、メスを使わない手術法もあるので、過度に怖がらずにまずは医師に相談してください。手術の際は、見え方が変わったり、将来的に再手術が必要になったりする注意点があります。きちんと説明を聞き、納得したうえで選択しましょう。