ドイツ行き決定で4キロ増 日々痛感する積み重ね…日本と違って「勝負にうるさい」【インタビュー】
ボルシアMGで積む日々のトレーニング量には「自信がある」
「卒業後にはドイツ行きが内定している」という言葉で、全国高校サッカー選手権での注目を集めたのが当時神村学園(鹿児島)の一員として得点王にも輝いたFW福田師王だった。2023年1月にドイツ1部ブンデスリーガのボルシアMGへ加入した。万能型にも見えるストライカーは、20歳にして泰然とした風格を漂わせる。その背景にあるのは、今まで積み重ねてきたものへの自信だ。(取材・文=轡田哲朗/全3回の3回目) 【写真】海外移籍で肉体改造 映像に一瞬映った筋肉バキバキの身体「ほぼ格闘家」 ◇ ◇ ◇ 高校2年時の全国高校サッカー選手権が終わった後にトライアルを受け、卒業後の入団が内定していた福田が加入したのは、まずはU-19チームだった。そこでゴールを積み重ねると、セカンドチーム、トップチームでのデビューと着実にステップを踏んでいる。 ドイツでの生活で、福田が大切にしているのがトレーニングだ。例えば、日本との違いとして「サッカーで言えば、勝負にうるさい。勝つことにこだわっていると感じて、日ごろのトレーニング、ゲーム形式でやった時も負けたら悔しがる。勝ちにこだわる。手を抜かない。言い合いもありますね」と話す。「ただ、そういうのはそれほど気にしないです。ゴールを決めたら自然とボールが来るようになるし、FWなので点を決めれば信用される。常日頃のトレーニングからシュートという武器をチームメイトにもアピールしてきた」と、この日常が今の福田を支えている。 福田に近い関係者も「人のせいにせず自分に矢印を向けられる。環境や周囲についての不満を言うことがない。半年に1回くらい会うと、毎回身体が大きくなっていると思う」と話す。65キロだった体重をドイツ行きが決まった後の1年間でトレーニングにより3キロから4キロ増やしたという福田だが、そこから約2年が経った今は74キロほどあるという。その効果を「鍛えるのは全身バランス良く、ですけど、足が速くなったと思うこともある。練習で難しいボールを収められないこともあったけど、半年くらい経って収められるようになった」と、日々のトレーニングで実感できている。 だからこそ、「積み重ねてきた練習量には自信がある」という思いが、プレーの自信につながり、言葉の力強さにつながる。 欧州でのプレーを続ける中で、福田は「色々な試合のハイライトは見ますね。1人に限らず色々な選手から盗むのもそうだし、見ていきたい」と話す。現在世界最高のストライカーとの呼び声が高いノルウェー代表FWアーリング・ブラウト・ハーランドについて「異次元。あんなのしてみたいなと思いますよ」と笑ったが、自身の少し先に重なる選手のプレーを「(ベルギー代表FW)ロメル・ルカクのポストプレーですね」とした。 この先のキャリアについて、日本代表への野心も話した一方で、クラブレベルでも夢は広がる。子供のころの憧れを思い返してもらうと「ACミランが好きだった。選手だと(元スウェーデン代表FWズラタン・)イブラヒモビッチとか。同じことはできないけど、似たようなことは頑張ってみたい」と微笑んだ。そして「まずはこのチームで輝くこと、活躍するのは当たり前だけど、最終的にはプレミアリーグでプレーしてみたい」と将来を見据える。 10月のインターナショナル・マッチウィーク中に実施されたインタビューだけに、週末のゲームがなく多少スケジュールには余裕のあるタイミングだった。それでも、その日のチーム練習がすでに終了しているにもかかわらず、「この後は、筋トレに行ってきます」と話していた。この積み重ねた努力の日々が、彼の今後のキャリアを切り開いていくはずだ。 [プロフィール] 福田師王(ふくだ・しおう)/2004年4月8日生まれ、鹿児島県鹿屋市出身。同県の名門・神村学園中等部から高等部へ進学。全国高校サッカー選手権で一躍注目を浴び、国内外で争奪戦となった。卒業後はドイツのボルシアMG入りを決め、24年1月にトップ昇格。年1月28日、強豪レーバークーゼン戦で途中出場してブンデスデビュー。23年にはU-20ワールドカップに出場した。
轡田哲朗 / Tetsuro Kutsuwada