米国では「アマゴルフ中継」拡大中なのに「日本の大学ゴルフ」はなぜ中継されないのか 連盟の重鎮たちが唱える驚きの「平等」論とは
アマチュアゴルフ中継の数も拡大中
その代表例は、毎年、「ゴルフの祭典」マスターズの開幕前にオーガスタ・ナショナルで開催されるオーガスタ・ナショナル女子アマチュア選手権のテレビ中継だ。 かつて女子のアマチュアゴルフの世界でテレビ中継されていたのは、せいぜい全米女子アマチュア選手権と全米女子ジュニアアマチュア選手権くらいだった。だが、大学ゴルフがテレビ中継されるようになった流れを受け、オーガスタ・ナショナル女子アマは創設当初からテレビ中継されている。 さらに言えば、オーガスタ・ナショナル女子アマの翌日にオーガスタ・ナショナルで行われるジュニア対象のドライブ・チップ&パットの最終戦もテレビ中継されている。 男子のアマチュア界には、マスターズや全英オープン出場資格が付与されるアジアパシフィックアマチュア選手権、ラテンアメリカアマチュア選手権といった大会があり、それらもテレビ中継されている。 ちなみに、今年のアジアパシフィックアマは日本開催だった。日本でアマチュアの大会がテレビ中継されることはきわめて異例だが、同大会はオーガスタ・ナショナルやUSGA(全米ゴルフ協会)が指揮を執っているため、珍しく日本国内でもテレビ中継されたのだろう。 今年の同大会では、昨年の日本アマチュア選手権覇者で早稲田大学3年生の中野麟太朗が優勝に迫る勢いを見せ、「テレビ中継に釘付けになって見た」という日本のゴルフファンは少なくなかったのではないだろうか。
テレビ観戦に触発される子どもたち
テレビ中継を通じてアマチュアゴルフを目にする機会は、日本ではまだまだ希少だ。一方で米国では、大学ゴルフに端を発し、ジュニアゴルフもアマチュアゴルフも、どんどんテレビ中継され、全米へ、世界へとアピールされ始めている。 そして、そうした戦いを目にした世界中の子どもたちや若者が米国のジュニアゴルフ界へ、アマチュアゴルフ界へ、大学ゴルフ界へと集まってくる。 都合がいいことに、全米アマチュアや全米女子アマといったアマチュアのビッグ大会は、いずれも年に一度の開催だが、大学ゴルフの大会は大小含めれば、1年を通して絶え間なく行われるため、テレビ中継が“ネタ切れ”になる心配もなく、1年中、エキサイティングなゴルフ中継が可能となる。 そしてゴルフファンも、未来のスターの原石とも言えるカレッジゴルファーたちのフレッシュでエネルギッシュなゴルフを、1年中、テレビ観戦することができる。 ジュニアやアマチュア、カレッジゴルファーの親や家族も、大学ゴルフのテレビ中継は「出場している子どもが心配だから観る」「観ているだけでも勉強になる」「欠かさず観戦し、将来、大学ゴルフへ進む子どものための情報を得る」と言う。 それゆえ、大学ゴルフのテレビ中継の視聴率は、順調すぎるほどの右肩上がりの伸びを記録しているのだそうだ。