高層ビル、タワマンで注意 長周期地震動 ゆらゆらした揺れが10分続くことも【暮らしの防災】
<東京・新宿の高層ビル群が「ゆ~らゆら」>
特に強い地震が発生したとき、気象庁は強い揺れが予想される地域に向けて「緊急地震速報」を発表します。2023 年 2月1日からは、それまでの「緊急地震速報」に加え、緊急地震速報の「長周期地震動階級」の発表も始めています。 今年1月1日の能登半島地震でも、対象地域に向けて緊急地震速報の「長周期地震動階級」が発表されました。長周期地震動は、大きな地震で生じる「周期の長いゆっくりとした揺れ」です。高層ビルなどを、大きく揺らします。一戸建ての住宅に住んでいる方は「関係ない」と思うかもしれませんが、高層ビルで仕事をすることなどもあるかと思います。他人事ではないのです。 2011年3月の東日本大震災の時、震源から400km近く離れた東京・新宿の高層ビル群が、ゆらゆらと揺れている様子がテレビで報じられました。 さらに約750kmも離れている大阪でも超高層ビルである大阪府庁咲洲庁舎の上層階が大きく揺れ、エレベーターのカゴを吊っているワイヤが絡まって使用不能になりました。いずれも「長周期地震動」によるものです。
<長周期地震動とは>
「周期」とは波が1回振動するのにかかる時間のことです。「長周期」とは、この時間が長い波のことです。 地震には「コトコトコト・ガタガタ・ゆさゆさ」という短い周期の揺れと、「ゆ~らゆ~ら」という長い周期の揺れがあります。実際の地震の揺れには、いくつもの種類の揺れが混ざっています。 地震の「短周期地震動」は周期が2秒程度以下で、木造住宅や低層アパートに影響をもたらします。一方、「長周期地震動」は2秒~8秒程度のゆっくりとした長い揺れで、高い建物に影響をもたらします。この「周期の長い波」に高層ビルが共振すると、長時間にわたり大きく揺れるのです。 また長周期地震動は、遠くまで伝わる上に、特に大きな平野(関東平野、濃尾平野、大阪平野など)を構成する地盤で増幅されるという性質があります。東日本大震災で発生した長周期地震動で、東京や大阪の高層建築物が大きく揺れたことは、うなずける現象です。