親になったらどんな責任がある? 切っても切れない親子の縁
相続の世界の「廃除」
ただし、相続についていえば、「廃除」という制度があります。どんなものでしょうか? そもそも親子というのは、血のつながりが強いこともあり、通常は親が亡くなれば子どもは相続人になるし、子どもが先に亡くなった場合には、親が相続人になることがあります。 でも、亡くなった人(被相続人)が生前、相続人から虐待を受けたり、重大な侮辱を受けたり、その他のいちじるしい非行が相続人にあったりしたときには、被相続人が家庭裁判所に、相続人の地位を奪うことを申し立てることができる制度があります。これが「相続人廃除」です。 ようは、「この人と親子関係があるけれど、私が死んだあとに私の遺産を相続させたくないから、相続人から外してほしい」という制度です。 手続きは、生前におこなうこともできますし、遺言によっておこなうこともできます(遺言の場合には、遺言執行者が廃除の手続きをします)。 ただ、家庭裁判所では、相続人廃除の判断はかなり慎重におこなわれます。廃除の対象となる相続人が異議を申し立てると、廃除が認められないケースも多く、実際に相続する権利が奪われるのは、まれだといわれています。 そういう意味でも、人生の最後の最後まで、なかなか親子関係というのは切り切れないものなのかもしれませんね。
遠藤研一郎