親になったらどんな責任がある? 切っても切れない親子の縁
離婚したあと親権はどうなる?
ところで、親権は、両親(父母)が結婚をしているあいだは、両方で親権を共同で行使することになっていますが(いわゆる「共同親権」)、父母が離婚するとどうなるんでしょうか? 日本の場合は、離婚のときに、夫婦のどちらかを親権者として定めることになっています。いわゆる「単独親権」です(民法819条1項、2項)。 夫婦のどちらでも、親権者になることができます。どちらが親権者になるかは、ふつうは夫婦間の話し合いによって決まります。でも、親権をめぐって夫婦間の話し合いでは折り合いがつかず、裁判所(調停や裁判)で争われることもあります。ちなみに、統計的には母親が親権をもつことが多いようですね。 離婚後、子どもは、親権をもつ親のもとで暮らすことになりますが、じゃあ、親権をもたなかった親との親子関係はどうなるんでしょうか? 答えは、夫婦が離婚をしても、親子は親子。親子関係は切れません。ですから、親権をもたない親であっても、子どもを養育する義務は残ります。自分の生活レベルと同程度の生活を、子どもにも与える義務があるんです。 ただ実際には、ちゃんと養育費が支払われないケースも少なくないことが、大きな問題となっています。
「お母さん、私の貯金いくらある!?」
そうそう。親子関係に関連して、「子どもの財産管理」についても触れておきましょう。 たとえば未成年者でも、ときに大きな財産を手に入れることがありますが、社会経験や判断能力が未成熟な子どもだと、財産をちゃんと管理することができないかもしれませんよね。 これについて、図の条文のように、親権者は子の財産を管理して、ときにはその子に代わっていろいろな契約などを結ぶこともできるものとされています。 もちろん、いくら親子であっても、子の財産=親の財産ではないことには注意が必要です。親権者は、自分の財産と混ざらないよう にきちんと分けて財産管理をしなければいけません。 なお、ここでの「財産管理」には、いろんなものが含まれます。ときには、子どもの名義の土地を売却したりすることもできるとされています。 ただし、親の好きなように何をやってもいい! というわけではないんです。もしちゃんと管理できないのであれば、親子とはいえ、子に対して損害賠償義務が生じる可能性もありますよ。また、適切な財産管理が期待できないような親であれば、財産管理権が喪失することもあります。 ときには、親権者と子どもとのあいだで、“親権者にとっては利益になるけど、子にとっては不利益になる“ようなことも起こります。たとえば、「親の借金のために子の財産を担保に差し出す」というようなことです。 このように、親と子の利益が相反する場合、親は子の代理人として行為をしてはいけません。家庭裁判所で、特別代理人の選任をしてもらわなければいけないのです(民法826条)。