親になったらどんな責任がある? 切っても切れない親子の縁
生まれてすぐにはじまる法律関係
さて、子どもが生まれると、「親子」という関係が生まれます。これは、私たちみんなが、この世に生を受けた瞬間からはじまるものです。 そして、この関係が形作られるために、当事者の意思は無関係。親が子を選ぶことはありませんし、子が親を選ぶこともありませんね。最初から自然に結びつけられているものです。 もしかしたら、「こっちの大人とこっちの子どもをマッチングさせたほうが、相性がいいんじゃない?」なんてこともあるかもし れません。でも、もちろんそんなやりとりはなく、ごく自然に、親は生まれてきた子をわが子と受け入れ、生まれてきた子もわが親に身をゆだねます。 では、法律的にはどうでしょうか。 子どもが生まれると、親は、その子に名前をつけて、14日以内に出生届を出すことで、親の戸籍に子どもが登録されます(戸籍法 49条、52条)。 それ以降、法的な親子関係が形づくられ、身分的な結びつきが生まれます。良くも悪くも、親と子は、法的に強く結びつくんです。
親権とは子どものためのもの
ところで、「親と子が法的に強く結びつく」って、具体的にどういうことでしょう? ここでまずお話ししておきたいのは、「親権」についてです。子どもは、“生まれてから成年年齢に達するまで、ふつうは、父母の「親権」のもとで育つ“ことになります。民法には下段のような条文があります。 これは、子どもの成長を支え、社会人として育てるために、親権者に与えられた権利・義務をあらわしています。 “親権“というと、語感として「親の権利」のように感じられるかもしれませんね。たしかに昔は、とくに父親が子どもを権力的に支配し、子どもはそれに服従する関係だと考えられていました。 でも次第に、「親の義務」という側面が強調されるようになりました。 いまでは、親権は、「子の福祉」という観点から、“親は子どもに生命を直接与えた者として、子どもを保護したり養育したりする義務を負っている“という面が強調されるようになっています。親になるということは、それだけ責任重大なのです。 親権の内容には、①子どもの居所を指定して、そこに居住させる(民法822条)、②子どもに職業を営む許可を与え、あるいは必要に応じて許可を取消す(民法823条)、などが含まれます。子どもは広く親の庇護のもとで育つ、ということですね。