親になったらどんな責任がある? 切っても切れない親子の縁
親のいない子どもを守る
ところで、「親権者がいない子ども」も、世の中にはいますよね。たとえば、子どものときにご両親が不慮の事故で亡くなってしまったケースなどです。 あるいは、虐待をきっかけに親の親権が喪失することもあります。“適切な親権を行使することが期待できない“のですから、その子のためを考えたら、しかたありません。 そのような子どもたちは、どうなるのでしょうか? こういった場合、親の代わりになってその子を監護・養育したり、財産管理をしたりするために、「未成年後見人」という人が家庭裁判所で選ばれることがあります(民法840条)。 未成年後見人には、親権と同じような権限があって、義務も負います。子どもの身のまわりの面倒をみて、住む場所や進学先の学校を決めたりします。子どもの銀行口座の開設など、財産管理もします。 ひとつ、親権者と未成年後見人で大きくちがうのは、未成年後見人の場合、家庭裁判所 の監督を受けるという点です。なぜかというと、やはり「実の親」ではないため、子どもがいつのまにか未成年後見人の食い物にならないように、第三者がチェックする必要があるからです。未成年後見人は、就任中、定期的に家庭裁判所に報告をすることになっています。
「もう、あんたとは親子の縁を切る! 」
ここまで、親と子の関係について基本になるお話をしてきましたが、関係がうまくいっている親子ばかりではありませんよね。 折り合いが悪く、会えばしょっちゅうケンカばっかりしている親子もいます。小さいうちは親のいうことを聞いていた子どもも、自我が芽生え、経済力などがついて独り立ちするなかで、ミゾが生まれることだってあります。 場合によっては、「もう親子の縁を切りたい!」なんて言葉が出てくるくらい、激しいミゾができてしまうことも……。 では、本当に親子の縁を切ることなんてできるのでしょうか? 結論からいえば、日本には、親子の縁を切る制度は存在しません。 「養親」と「養子」の関係であれば「離縁」という制度がありますが、血のつながった親子関係は、たとえ成人しても、遠くに暮らしても、音信不通でも、絶縁状を書いても、少なくとも法的な身分関係はつながり続けます。親子関係は一生続くのです。 そういう意味でも、親子って、すこしやっかいかもしれませんね。