「老害」にならないための“脳トレ”は45歳からやる 鍛え続けて「老害脳」の進行を遅らせるのがカギ
公的年金の支給が原則65歳から、後期高齢者医療制度への加入が75歳から、というあたりが、現時点における社会的な高齢者の線引きなのかもしれません。 ■脳の中年期の入口は45歳ごろ ところで、脳科学者として数々の実例に接してきた私が感じる脳の中年期の入口は、おおむね45歳ごろだという認識です。そして、同じく高齢期の入口、あるいは中年期の終わりは、おおむね75歳ごろと考えています。 つまり、一般的な中年、高齢者のイメージよりも、脳が加齢を実感することは先伸ばしできるのです。脳の中年期とは45~75歳を指すという仮説を立てた上で、この30年間はおおむね、何もしなければ年を追うごとに老化のスピードが速くなると言えます。
一方で同時に、老化のスピードは個人差が大きく、生活習慣や努力によっても差がつきます。人によっては80歳でも、脳の老化がほとんど進んでいない人もいれば、70歳でがっつり脳に老化が襲いかかっている人もいます。 実際に、老化の程度は私が開発した脳相診断法による枝ぶり脳画像で示すと一目瞭然です。下の脳画像に示したように、70代付近の人と接する際でも、人によってとても差があるということになります。 考えてみれば、世の中には芸能人やアーティストなど、70歳を過ぎても旺盛に活動している方がいます。
しかし、60代で覇気を失い、成長が完全に止まる人もいれば、認知症を発症する人もいます(もっとも、認知症まで行ってしまうと、「老害」を及ぼすことすら難しくなります)。 「老害」は中年期の後期に人よりも早く老化してしまった人、あるいは75歳を超え、名実ともに高齢化のリスクを抱えている人が、より若い人や立場の低い人に命令できたり、影響を及ぼしたりできるようなケースで起きやすいと考えられます。 ■中年期に鍛え続ければ、脳は成長し「老害脳」を防げる!
脳はある日突然老化してしまうのではなく、長い時間をかけてゆっくり老いていきます。ということは、ある日突然「老害脳」になるのではなく、徐々に「老害脳」化が進んでいくと考えていいでしょう。 私は、脳の中年期、45~75歳をどう乗り切るかによって、自分自身の「老害脳」化を遅らせることができると考えます。そして、脳が中年期に入る40代、50代が、「抗老害脳」対策を始める、最も重要なタイミングになります。