「他人を信じすぎて損ばかりする人」が、相手との距離感を掴むコツ
感謝は伝えすぎるくらいで丁度いい
発達障害を持つ人は、何かにつけて忘れっぽいので、知らず知らずのうちに、相手に失礼なことをしている場合があります。しかし、何をおいても忘れてはいけないものがあります。それは、感謝の気持ちです。 私の祖母は、いつも贈り物ばかりしている人でした。お世話になっている人、近所の人、友達、周りにいるありとあらゆる人に贈り物をしていたのです。そして、プレゼントを選んでいる祖母はとても幸せそうでした。 「なんでおばあちゃんは、人にプレゼントばかりしているの?」と私が聞くと、「いつもお世話になっている人に喜んでもらいたいからだよ。感謝の気持ちはしっかり伝えないと伝わらないからね」と、にっこり笑いながら答えてくれました。 この記憶が鮮明に焼き付いているので、私は何をおいても感謝だけは忘れてはいけない、と思いながら生きてきました。 発達障害でなくとも、人は自分が他人にしてあげたことはいつまでも覚えているのに、自分がしてもらったことは忘れてしまいがちです。 「○○さんに、あんなによくしてあげたのに」と文句を言っている人を見かけますが、相手も感謝はしているはずです。ただ、伝え方がよくなかったのだと思います。 私の所属事務所の会長が、次のような話をしてくれました。 「こんな3人がいたとしよう。心から感謝の気持ちを相手に伝える人。特に感謝もしてないけど、口先だけで感謝の気持ちを相手に伝える人。心ではものすごく感謝してるのに、躊躇して感謝の気持ちを口に出して伝えられない人。一番残念なのは、3番目の人になるんだよ」 一番残念な人にならないようにしたいですよね。感謝の気持ちは、どんどん口に出して伝えましょう。伝えすぎて「うざい」と思われないかな、なんて考える必要はありません。感謝されて嬉しくない人などいません。感謝の気持ちは伝えすぎるくらいで丁度いいのです。
ミスしたときに絶対にしてはいけないこと
日々、さまざまな対策をとりながら、ミスをしないように必死にがんばっている私たちですが、残念ながらどこかのタイミングで必ずミスをします。発達障害あるなしにかかわらず、私たちはロボットではなく人間なのでミスして当然です。 頭ではそうわかっていても、ミスしてしまうと悔しいですよね。こんなにがんばっているのに、人一倍注意を払ってミスしないように努力しているのに、なんでこうなってしまうんだ。自分が嫌になってしまいます。 しかし、どんなに悔しくても、ミスをしてしまったときに絶対にこれだけはしない、と決めていることがあります。それは、言い訳です。 まずすべきことは、謝ることです。 「申し訳ありませんでした!!!」これが最適解なのですが、つい言い訳したくなってしまいます。 約束の時間に遅刻してしまったとき、こんな謝り方をしたことがあります。 「いや~ちゃんと出発したんだよ。でも、スマホを家に忘れてることに気づいてさ、急いで取りに帰って、それから駅まで走ったんだけど、目の前で電車の扉が閉まって、乗り遅れちゃった。ごめん」 0点です。実際、これはすべて真実で嘘はついていないのですが、相手からしたら「そんなん知らんがな!」ですよね。まずは、謝りましょう。相手からミスした理由の説明を求められない限り、言い訳してはいけません。目の前にあるのは、あなたがミスをしたという事実だけなのです。ましてや、「私は発達障害だから」などと開き直ることは絶対にしないでください。 悲しいかな、発達障害の人は言い訳をしがちだ、と認識している人も世の中に少なからずいます。人一倍がんばって、ミスしないでいられた日は自分を目一杯褒める。ミスしたときは、言い訳しないでグッと我慢。ミスしてしまったときは、素直に謝るほうが確実に信頼される人間になれます。
中村郁(声優)