2025年度、PB(プライマリーバランス)黒字化を明記【Bizスクエア】
――いま、これを復活させたのはどういう意識? 千葉商科大学教授 磯山友幸氏: 為替円安だと思う。プライマリーバランスの黒字化をここで盛り込まなかったときに、「この国は財政赤字を放置する」ということになると、円安に歯止めが掛からなくなるということを恐れたのではないか。 プライマリーバランスとは、社会保障や公共事業をはじめ、様々な行政サービスを提供するための経費を、税収等で賄えているかどうかを示す指標で、2024年度の予算では、歳入が78兆円なのに対し、歳出が86兆円と8兆円の赤字となっている。歳入のうち国債費が35兆円だがこれは新たな借金。78兆円しか税収がないが、利払い費が27兆円。利払い費を除いた歳出が86兆円。なので8兆円赤字。 だからこれをバランスさせようというのがプライマリーバランスの考え方で、これは国だけの予算について今見ているので、赤字幅が大きいが一般会計だけなので、地方と国と全部合わせた財政状況でプライマリーバランスを達成しようというのが国の政策目標だ。実はこれがずっと目標だったが達成できなかった。 国と地方のプライマリーバランスは1992年度から赤字が続いている。これまでも黒字化を目指す目標を掲げてたが実現には至らなかった。内閣府の試算では2025年度は高めの成長が実現できれば、1.1兆円の赤字まで縮小することができるとしている。プライマリーバランスの黒字化はもうできないとみんな思っていた。 2006年小泉内閣のときに「2011年度に達成しよう」といってたのが、「2020年に達成しよう」にずれ、さらに「2025年にしよう」といっていた。ところが、ここ2、3年になって急激に改善している。成長が高いケースという前提で1.1兆円のマイナス赤字。ベースラインでも2兆円の赤字だが、1兆円、2兆円のところまで今まで持ってこれなかった。 ――なぜこんなに改善したのか? 千葉商科大学教授 磯山友幸氏: 物価が上がっているのが大きい。逆説的だが、物価が上がると消費税の税収も当然増えるということで非常に税収がいい。