トイレの表示に「声を大にして言いたい」こと 市役所の配慮に反響 「日本中に広まって」
建て替えを機に、市「機能の分散」
水戸市役所によると、このトイレの案内は、7階建ての庁舎の中でも、障害のある人も多く訪れる福祉部門の課がある1階と2階に設置しているそう。 2018年に建て替えられた庁舎は、全てのフロアに車いすユーザーや赤ちゃん連れ、オストメイトでも使いやすい「誰でもトイレ」が設置されています。一方で、ユニバーサルデザインの専門家からは建て替え時、「全ての機能を一つのトイレに集約するのではなく、分散させた方がよい」というアドバイスを受けたといいます。 そのため、左まひと右まひ、それぞれに対応するトイレを設置したり、誰でも使えるけれども「車いす優先」とするトイレを設けるなど、機能分散を図りました。 そして、案内板もそれに準じた伝え方になったとのことです。
やっと見つけたトイレ、まひに対応していなかったら…
大樹さんのリハビリに付き添い、いまも大樹さんと共に脳出血の当事者や介助者視点での情報発信を続けている亜紀子さんは、今回の投稿への反応を見ていて「配慮の気持ちがうれしい」という当事者の声を見かけたことが印象に残ったといいます。 「そもそも多目的トイレの設置箇所が少ない上、やっと見つけたトイレが自分のまひに対応していないとわかったときに、『考えられていないな』と残念な気持ちになるんだろうと思います」 今回の反響について大樹さんは「そもそも、『片まひ』というものがあるのを初めて知ったと言う方もいました。ちょっとした気付きでも発信し、その結果、障害のある人の生活が少しでもよくなればいいなと思います」と話します。
記録から発信へ…「元気をもらっていた」
大樹さんと亜紀子さんは、「世界はサカサマ!」というYouTubeチャンネルを運営しています。このチャンネルは2019年に大樹さんが脳出血を発症してから、リハビリの様子や、後遺症の困り事などについて発信をしています。動画の編集は、脳出血発症前から映像制作を本業としている大樹さんが担っています。 動画は当初、「記録」のために撮影していたといいます。「毎日リハビリに付き添っていたので、その様子を動画に撮って後で見返すということをやっていたんです」と亜紀子さん。 その動画はインスタグラムで投稿し、ブログでも自分自身の悩みなどを発信していましたが、途中から発信の場所をYouTubeへと移しました。 「当時、子どもは4歳と1歳。夫も私も働き盛りでしたが、同じ状況の人が周りにほとんどいませんでした。『このまま寝たきりだったらどうしよう』と悩んだり、ずっと孤独だった」という亜紀子さん。しかし、自分から発信し始めてからは、状況が近い人たちとのつながりが増えていき、視聴者の反応に「元気をもらっていました」と振り返ります。