「目標は4部昇格」「スポンサー契約も自分で」ドイツ6部クラブ監督になった岡崎慎司の今…「経営して指導して組織作り、大変だけど楽しいです」
元日本代表FW岡崎慎司が2024年5月17日、ベルギーのシントトロイデンでプロサッカー選手として最後のピッチに立ってから5カ月が経つ。いま岡崎はどんな思いでどんなことをしているのだろう? 【写真】「わ、若い…!」岡崎慎司の泥臭くもかっこいいサッカー人生のすべて、引退試合、新米監督としての日々を写真で見る プロスポーツ選手のセカンドキャリアにはいろんな道がある。でもどこか華々しさから逃れられないままになってしまうケースも少なくない。ドイツのコブレンツ専科大学スポーツマネージメント学教授ディルク・マツルキビッツが、プロスポーツ界についてこう指摘していたことがある。 「トップレベルで活躍していた選手であればあるほど、引退後もその光の中にとどまろうという思いが強くなってしまう」 だから、よりトップレベルのプロ現場に近いところで監督、チームマネージャー、スポーツディレクター、テレビ解説者という職種に人気が集まる。
自らのクラブで新監督に就任
だが岡崎が選んだ道はそのどれとも違うものだった。引退後、ドイツ6部リーグに所属するバサラマインツ監督への就任が発表された。バサラマインツは「日本人がドイツでサッカーを通じて、人としても成長できる場所を作りたい」と、母校・滝川第二高等学校時代の先輩である山下喬とともに、岡崎が2014年に設立したクラブだ。 「選手生活ってやっぱり特別だったなと思います。もう終わりかって、寂しい気持ちはあります。けどそれよりも選手ではたどり着けなかったところに、次のキャリアでたどり着きたいっていう思いの方が強いですね」 シントトロイデンでのラストマッチ後に、岡崎はそんな言葉を残している。心に抱く野心は相変わらず誰よりも大きい。ただ、だからといって選手引退と同時に指導者として大成できるとは思っていない。指導者として経験を積み上げることの大切さを感じているし、そのためにじっくり時間をかけて成長する道を選んだ。 そして、この立ち上げから関わっているバサラマインツをまず4部まで引き上げたいというのが岡崎の大きな目標なのだ。プロクラブのセカンドチームの多くが4部所属ということもあり、選手も監督もそこで活躍してプロクラブからのスカウトを受けてステップアップというのがより現実的な話になる。 「だからそこまではまず行きたい。僕は覚悟を決めたんです。10年とりあえず取り組んで、組織を安定させて、4部に行けるように努力する。バサラマインツが上に行けばそこからプロに挑戦できるチャンスも出てくる。そのためにはまず覚悟がやっぱりいるなと思いながらやってます」 バサラマインツは設立後、11部からドイツ1位タイの記録となる5年連続昇格もあり、6部までジャンプアップ。だがそこから5部昇格への厚い壁に何度もはね返されている。果たしてさらに上を目指せるクラブになれるのか。今年クラブ創立10周年を迎えたタイミングで、そこに岡崎慎司という存在が加わるメリットの大きさを関係者のだれもが感じている。 ドイツ統一の日である10月3日は国民の祝日。取材に足を運んだこの日、バサラマインツではホームにFSVオッフェンバッハを迎えたリーグ戦が行われていた。mizunoが手掛ける新ユニフォームと《EAT HAPPY》という新スポンサーのお披露目イベントもあって会場には500人以上の人が集まり、温かいお祭りムードに包まれていた。
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