年末年始の宮中行事から見えてくる「皇室と神道」…柔軟な制度改正が必要な理由
年末年始は皇室にとって最も多忙
一般国民が年明けからの日々に向けて英気を養う年末年始は、皇室、特に天皇陛下にとって最も多忙な時期である。 【写真】11宮家が集合した貴重なワンシーン
12月31日の大晦日に実施される節折(よおり)の儀と大祓(おおはらい)の儀、元日の四方拝と歳旦祭の儀、新年祝賀の儀、1月2日の新年一般参賀、3日の元始祭の儀、4日の奏事始の儀と、スケジュールが目白押しだからだ。このうち、祝賀の主要行事は憲法で規定された天皇の国事行為という位置付けになっている。 新年祝賀は早朝から宮内庁長官をはじめとする一般職員の代表者、皇宮警察本部長以下の皇宮護衛官代表者、参与、成年皇族方、元皇族とご親族、未成年皇族方、首相と衆参両院議長、最高裁長官の「三権の長」、各国の外交官と配偶者、宮内庁の元長官や元次長、元式部官長、元参与、旧華族(上級の元公家)の集まり「堂上会」総代、侍従長以下の侍従職職員へと延々と続く。また国民に向けて陛下から年頭のメッセージが発せられ、皇族方がお手振りで祝われる一般参賀のほかに、数々の宮中祭祀がある。 節折は天皇のために行われるお祓いの行事で、大祓は皇居・宮中三殿の一つ「神嘉殿」の前で皇族や国民のために行われるお祓い。大祓では天皇皇后両陛下は慣行上、静かにお慎みになるにとどめ、参列はされない。古代・中世を通じて行われていた宮中祭祀だったが、応仁の乱をきっかけに長期間にわたって実施が見送られていたものを、明治天皇が再興した。 年が改まり四方拝となるが、これは早朝に天皇陛下が神嘉殿の南庭で伊勢神宮、山陵、そして四方の神々に対して遙拝される年中最初の行事である。続いて三殿で行われる歳旦祭は年始の祭典で、元始祭は年始に当たって皇位の由来を祝い、国家と国民の繁栄を三殿で祈られる祭事となっている。奏事始では皇室祭祀をつかさどる宮内庁の掌典職トップ・掌典長が年始に当たり申し述べる伊勢神宮と宮中のお祭りについての報告に、天皇陛下が耳を傾けられるという伝統行事である。