「ロレックス賞」2023年度受賞者、空気から安全な飲料水を抽出 ケニアで活動
連載《SDGsの「今」》
SDGsをめぐるラグジュアリー界の最前線をご紹介する連載企画。今回は、スイスの高級腕時計ブランド「ロレックス」が半世紀近くにわたり、よりよい世界のために貢献する人々を支援してきた「ロレックス賞」に着目しよう。 【写真を見る】ロレックス賞授賞式の光景から受賞者らの革新的な取り組み、2023年に発表されたロレックスの話題作まで写真はココからチェック! ロレックス賞は、1976年にロレックスが創設したアワード。地球を守り人類に恩恵をもたらし、世界を変革するようなプロジェクトに挑む個人に贈られる。 対象とするのは科学と医療、環境、応用技術、探検、文化遺産という5つの分野で、18歳以上であれば誰でも国籍を問わず応募が可能。受賞者は、国際的な専門家からなる選考委員によって2年ごとに5名選ばれる。 これまでに160名の受賞者を選出し、ロレックスは資金提供や受賞者の活動内容の広報をはじめとするさまざまな形で、課題に立ち向かうパイオニアたちをサポートしてきた。その歴史と意義、新たに発表された2023年度の受賞者たちの横顔とは?
■ロレックス、実用性向上に貢献した時計界の先駆者
1926年、防水性と防じん性を備える世界初の腕時計を開発したロレックス。カキ(二枚貝)が硬い殻をもつことから、その完全密閉のケースが「オイスター」と名づけられたのは有名な逸話だ。 翌1927年には、英国人女性スイマーのメルセデス・グライツが10時間以上に及ぶイギリス海峡横断遠泳時に「ロレックス オイスター」を着用。この時計の優れた性能が公に証明された。 この防水腕時計の祖「ロレックス オイスター」に始まり、自動巻き機構「パーペチュアル」、日付表示機構「デイトジャスト」など数々の発明を生み出し、世界的な業績を残してきたロレックス。腕時計の限界を押し広げ、実用性向上に貢献した時計界の先駆者として知られる。
■オイスター誕生50周年で賞創設、反響呼び定例化
ブランドの創立者、ハンス・ウイルスドルフにとって、世界は「生きた実験室のようなもの」だったという。1930年代になると、性能テストの場として腕時計を地球上の過酷な場所へ「同行」させ、同時に未知の領域へ挑む探検家たちに寄り添い、支援してきた。 やがて1976年、「ロレックス オイスター」の誕生50周年を記念して設けられたのがロレックス賞だ。実は1度きりの開催予定だったが、賞が国際的な反響を呼んだため、継続的なアワードへと姿を変えた。 現在では、ロレックスの環境保護への取り組み「パーペチュアル プラネット イニシアチヴ」の一環として位置づけられているロレックス賞だが、その歴史は長くて深い。 48年にわたって未来のチェンジメーカーたちを支援してきたロレックス。時計製造の範疇(はんちゅう)をはるかに超えるほどの支援活動は、ブランドに根付く、進取の気性に富んだ価値観を一段と育むことにつながった。