《ブラジル》特別寄稿= サンパウロに「日本ビル」を建設するという夢物語の実現に向けて
日本人の中にはブラジルファンが相当多い。ブラジル在住の日本人、日本在住の日系ブラジル人、昔ブラジルに駐在した日本人、サッカー、サンバ・カーニバル、ボサノヴァのファン等々を中心としてクラウド・ファウンデイングもトライするに値する。必ずしも日本人や日系人のみならず、日本や日本人に対し、親近感を持つブラジル人や日本語を学んでいるブラジル人、マンガ・アニメに興味を持つブラジル人等も対象にすることも考えられる。 建設計画が決定し資金集めの段階になれば、日系コロニアが組織される様々なイベントを活用し、募金を集めるという方法もある。2023年の「日本祭り」には18万5千人の入場者があったと伝えられている。またサンパウロには、他にも「モジ秋祭り」「桜まつり」やアチバイアの「花とイチゴの祭典」等が華やかに開催されている。パラナ州主要都市での「日本祭り」や年々拡大しつつあるリオ・グランデ・ド・スル州の「日本祭り」等もある。入場料の10%程度を建設募金にするとか、会場内で募金を集めるというのも一案であろう。 建設経費削減の観点から、日本ビルの設計者や施工業者には、ナショナル・プロジェクトということで、破格の見積もりを出してもらうように折衝すべきであろう。
「想定される入居組織は?」
まず、「日本ビル」にはどのような組織が入居することが想定されるのだろうか? サンパウロ総領事館、国際協力機構(JICA)、日本貿易振興機構(JETRO)、国際交流基金(JAPAN FOUNDATION)、ブラジル日本文化福祉協会、ブラジル日本都道府県人会連合会、サンパウロ日伯援護協会等コロニアの主要団体、ジャパン・ハウス、ブラジル日本語センター、県人会の事務所、進出日系企業・日系コロニア企業、日本の伝統芸術の流派等々である。もちろんこの建物に入居を希望しない組織も想定されるので、入居を希望する組織、個人に限られることは言うまでもない。
「日本ビルにはどのような施設が設置されるのか」
また設備として大中の講堂、会議室、多目的ホール、体育館、博物館・美術館、図書館、日本レストラン・カフェテリア、和室、茶室、ショップ等の設置が考えられる。大口の寄付を行った企業やコロニアの成功者には、今はやりの冠をつけることもできよう。例えば、〇×大講堂とか〇×会議室等々で、具体的な寄付者の名前を冠につけるのである。 日本ビルの建設に当たってはタイミングも重要であろう。2025年は日伯外交関係130周年記念、文協設立70周年、2028年は、日本人移住120周年に当たる。このような節目の年までにアイデアがまとまれば理想的である。 日本人、日本企業、日系コロニアの人々は、総じて、謙虚でしゃしゃり出ることを嫌う傾向にある。また横並び意識が強く、A社が出すのであれば、B社もということになる。それゆえ、最初のコンセンサスが重要となって来る。 以上、夢物語を披露したが、夢の実現には何といっても、このプロジェクトの主人公である日系人コロニアの強い熱意、多くの日系人の幅広い理解と揺るぎないサポートと具体的行動、日系コロニアの決意と心意気に賛同する進出企業による力強い支援、そして日本政府による資金協力の英断と数々の支援が求められる。「日本ビル」建設という夢の実現に向けて、賛成、反対を含め様々な意見が出てくることを期待したい。そのような議論を通じて、日系コロニアのさらなる活性化が期待できよう。《ラテンアメリカ協会サイト4月25日付初出(https://latin-america.jp/archives/62264)》