《ブラジル》特別寄稿= サンパウロに「日本ビル」を建設するという夢物語の実現に向けて
「では具体的にどうするのか」
ではどうすれば実現に少しでも近づけるかを考えよう。最初に心がけなくてはならないことは、日本政府に過度に依存・期待しないことである。 筆者の印象では、ブラジル在住の日系人の方々は、往々にして何でも日本政府に頼りがちであるように思える。日本ビル建設は、日系コロニアや進出企業に大きなメリットのあるプロジェクトなので、日系コロニアも進出企業も当然ながら積極的な負担が要請される。 日本でよく活用されるのは2分の1方式とか3分の1方式である。このルールは最も日本的で最適と思われる。現在進行中の大阪関西万国博覧会でも、政府、大阪府・大阪市、財界の3分の1だし、前述の日墨学院でも変則の3分の1方式であった。「イタリア・ビル」のような立派なビルができないにしても、「日本ビル」にふさわしい建物の建設のためにそれ相応の資金が必要となる。便宜上、75億円程度以上と仮定しよう。 次に考えなくてはならないのは、具体的な実現方法である。 最初は、出来るだけ多くのアイデアや構想を提案することから始まる。様々な人が様々な提案を出すことが重要である。それらの提案は実現に向けての前向き、ポジティブな案でなければならない。どのようなプロジェクトでも必ず反対者が現れるものと覚悟するべきである。ブラジル日報紙、ブラジル日本文化福祉協会(文協)、ブラジル日本都道府県人会連合会(県連)、サンパウロ日伯援護協会(援協)、ブラジル日本商工会議所などが会員等に対しアイデア募集するという案も考えるべきであろう。
第2はプロジェクトを推進させるために数百、数千のサポーター、具体的アクションを起こす数十人のプロモーター、コーディネーターが必要となってくる。とりわけ夢の実現に対して熱意を持ったプロモーターの存在は欠かせない。 考えがまとまることになれば、日本的に「日本ビル建設計画」のための官民合同委員会を立ち上げることになる。メンバーには日本政府、政府機関、経団連、ブラジルの主要3団体(ブラジル日本文化福祉協会、ブラジル日本都道府県人会連合会、サンパウロ日伯援護協会)、ブラジル日本商工会議所、ジャパン・ハウス等が考えられる。 またビルにはどのような施設を設置すべきか等についてのビル運営の専門家も入れたほうが良いであろう。委員会では具体的に、いかに建設資金を集めるか、ビルの運営をどうするのか、ビルに入居する組織をどうするか、ビルにはどのような施設(講堂、劇場、博物館、図書館、会議室等)を設置すべきか。経営的に成り立たせるにはどうすればいいか。ブラジル政府やサンパウロ州政府との折衝をどうするのか政府等々を議論することになろう。