《ブラジル》特別寄稿= サンパウロに「日本ビル」を建設するという夢物語の実現に向けて
「どのようにして資金を集めるか」
最も重要な点は何といっても資金集めである。3分の1ルールを適用するとすれば、日本政府には25億円~30億円相当の拠出が望まれる。ブラジル在住の日系コロニアには大いに頑張ってもらわなければならない。日墨学院建設時代のメキシコの日系人数は1万人以下と言われていたので、当時1・5億円を集めたということは、単純に計算すると、1人あたり1万5千円拠出した。ブラジル日系人数は200万人以上と言われるので、仮にメキシコの50分の1の300円(10レアル)を集めるだけで6億円、20レアルだと円で12億円になる。もちろん、全員が拠出すると考えるのは非現実的であることは当然であるが、コロニアは一番の裨益者なので積極的な協力を求められる。 加えて、メキシコのようにコロニアの成功者から多額の寄付を期待することができよう。ブラジルの日系コロニアの成功者の数はメキシコと比べはるかに多い。仮に10名の成功者が、100万レアルを寄付するだけで3億円くらいになる。20名だと6億円となる。さらにブラジル日本文化福祉協会、ブラジル日本都道府県人会連合会、サンパウロ日伯援護協会にも協力してもらう必要がある。 例えば筆者の過去の調査によると、現在47県人会の事務所が存在し、宿泊施設を持つ県人会は14に達する。すべてではないにしてもそれら県人会の施設を売却し、「日本ビル」の建設費に充てるのも一つのアイデアである。施設を売却し、建設に協力した県人会組織は、新しいビルに優先的に入居できる権利を持つことになろう。 また1964年に落成した文協ビルも今年で築60年になる。「日本ビル」の建設地が現在の文協ビルになるのか、その他の場所になるのかはわからないが、候補地として考えられるだろう。その他の場所になる場合は、文協ビルの売却も一案である。
日系進出企業も積極的な貢献が望まれる。現在ブラジル日本商工会議所の会員企業数は302社で、進出企業数185社、地場企業数117社。主要商社、銀行、メーカー等25社が、5千万円程度の拠出をするとすれば12・5億円、残りの企業は規模や業績に応じ、100万円から1千万円程度負担すれば10億円以上になるだろう。経団連も日伯経済合同委員会との関係もあり、寄付集めに貢献していただくことが重要である。 日本にもブラジルにも国会議員連盟が存在する。日本には「日伯国会議員連盟」(麻生太郎会長、小渕優子副会長)、「日本・中南米国会議員連盟」(小渕優子会長)があるし、ブラジル側も「伯日議員連盟」(西森ルイス会長、連邦下院議員)が活動している。これらの政治家の方々にもプロジェクトにつき詳細に説明し、多大なる協力、支援、アドバイスを得ることが重要である。 ブラジル政府やサンパウロ州政府、サンパウロ市にも土地の無償提供や破格の価格での提供やその他の支援を頼んでみるべきであろう。