なでしこジャパンが東京五輪開幕カナダ戦に執念ドローも高倉監督の采配に疑問…不可解な選手起用
エースが決めた起死回生の同点ゴールが、日本女子代表「なでしこジャパン」に勝ち点1をもたらし、同時に指揮官の数々の采配ミスをも帳消しにした。 23日の開会式に先駆けて、東京五輪の一部競技が21日にスタート。無観客の札幌ドームで行われた女子サッカーのグループリーグ初戦で、なでしこは開始わずか6分でカナダ女子代表に先制されながら、新たに「10番」を託されたFW岩渕真奈(アーセナル)が後半39分に同点ゴールを決めて1-1で引き分けた。
“小さなエース”岩渕が値千金の同点ゴール
最新のFIFA女子ランキングで、10位のなでしこに対してカナダは8位。先発した全員が銅メダルを獲得した前回のリオデジャネイロ五輪を経験している難敵カナダから、土壇場で勝ち点1ポイントをもぎ取った結果は前向きに受け止めていい。 試合を振り出しに戻す待望のゴールを決めたのは、身長156cmの小さなエース岩渕だった。自陣の右タッチライン際からMF長谷川唯(ACミラン)が放った縦パスに反応。巧みなコース取りで追走してくるディフェンダーの前へ入り込み、なおかつ相手キーパーのポジションを見極めながら、右足で冷静沈着にゴール右隅を射抜いた。 「勝ち点1でしたけど、次につながるゴールが取れてよかったです。今日以上のプレーが2試合目、3試合目でしっかりできるように、悔いのないように全員で頑張りたい」 非公開で行われた6月中旬のメキシコ女子代表戦を含めて、国際Aマッチで日本女子代表史上最長となる5試合連続ゴールを達成。かつて「10番」を背負ったレジェンドで、憧れの存在でもある澤穂希さんを抜いた岩渕は、試合後に努めて前を向いた。 しかし、敗色濃厚な大ピンチをドロー発進に変えるまでの過程を振り返れば、特に高倉麻子監督の采配や選手起用において、首を傾げざるをえない場面が少なくなかった。 たとえば後半開始直後になでしこがPKを獲得した場面。後半開始から投入されたばかりのFW田中美南(INAC神戸レオネッサ)がキッカーを務めた点を、日本女子代表の初代専任監督で、現在は解説者を務める鈴木良平氏は疑問と驚きを持って受け止めた。 「岩渕が試合に出ているのであれば、当然、彼女が蹴るべきだと思いました。1週間前に行われたオーストラリア女子代表との強化試合でも、決勝点となるPKを冷静沈着にゴールの左隅へ、相手キーパーの勘が当たっても防げないコースへ決めていたので」