「芸術の秋」に向けて襟を正して読みたい3冊。
『監督のクセから読み解く 名作映画解剖図鑑』 廣瀬純(著)
映画ポッドキャスト「PARAKEET CINEMA CLASS」のナビゲーターとしてもお馴染みの廣瀬純さんによる、お久しぶりの映画本。古今東西の映画監督の魅力に、彼らがよくやってしまう演出的な”クセ”から迫るという刺激的な一冊だ(タランティーノのクセはなんと「クソ」!!)。実はこれ、かつて『ポパイ』の映画特集で廣瀬さんがクセを通してスピルバーグについて語るという企画が着想源らしい。そりゃ読むっきゃない。 9月はこんな本を読もうかな。
『ショットとは何か 歴史編』 蓮實重彦(著)
『ショットとは何か』『ショットとは何か 実践編』に次ぐシリーズ第三弾は、前回と同じく、書籍未収録の神話的な名論考がずらり。とりわけ噂には聞いていた古典的ハリウッド期のラブコメ論、「スクリューボールまたは禁止と推奨 ハリウッド30年代のロマンチック・コメディー」がようやく読めるのは嬉しい。しかしやっぱり目玉は書き下ろしのラオール・ウォルシュ論だ。
『STATUS AND CULTURE ――文化をかたちづくる〈ステイタス〉の力学 感性・慣習・流行はいかに生まれるか?』 デーヴィッド・マークス(著) 黒木章人(訳)
あの名著『AMETORA』から幾星霜、『ポパイ』でもたびたびお世話になっているデーヴィッドさんが、満を持して発表した。「流行」という「文化の謎」に、ステイタスという側面から切り込んでいくこの一冊、難しいところも多いが、読めば少しだけ僕らを取り巻く世界がクリアに見えてくるに違いない。 text: Keisuke Kagiwada
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