「部下がやる気にならない」と悩む管理職に求められる3つの視点
様々な業界で人手不足が叫ばれ、採用も容易ではなくなっている昨今。退職代行を使った早期離職なども話題になっています。 【図】なぜ組織は機能不全に陥るのか 人材の育成は近年の企業経営における重要なテーマであり、最大の悩みです。現場の管理職がすぐに実践できる部下育成のコツとはなんでしょうか。 『小さな会社の「仕組み化」はなぜやりきれないのか』(アスコム)の著者で、一般社団法人成長企業研究会 代表理事の小川実氏が解説します。
「人の育て方を知っている人」などいない
「部下の育て方がわからない」というのは、実際に経営者や管理職の方々からよく聞く悩みです。 人材が育たないのは上司の責任だといわれます。それはそうなのですが、仕方がない面もあると私は思います。「自分は人の育て方が完璧にわかっている」などという人が、はたしているでしょうか?優秀な部下が育ったとき「自分が育てた」というより、結果的に「育ってくれた」と感じることのほうが多いように思います。 特に大きな会社ほど、最初から「全員が育つ」などとは考えないものです。大量に人を採用し、何人かがコア人材として残り、育っていく。「何人かが育つ"だろう"」というのが現実ではないでしょうか。 なにしろ、どんな指導をしても部下本人にその気がなければ成長は望めません。管理職の皆さんが感じる「人が育たない」悩みの中には、どうやってやる気にさせればいいかがわからない、といったモチベーターとしての悩みも含まれているのです。
人事評価が組織を変える
では部下の育成は結果論でしかないのかというと、そうではありません。「成長できる環境」を提供することはできます。 その環境をつくるカギが、実は評価制度であり、賃金制度なのです。 2024年4月22日付のスポーツニュース記事で、こんな見出しが目に入りました。 「【日本ハム】好調の裏に"査定改革"」 読んでみると、これまで明確に査定の対象になっていなかった細かなプレーをしっかり評価するように改革したことが書かれていました。すると、監督からの指示に応える選手のモチベーションがあがり、チーム力の強化につながっているのではないか、という趣旨です。 企業の人材育成にも同じことがいえるのではないかと思います。 「組織のビジョン+目標(役割)+評価+報酬」 当たり前に思えるこれらがしっかりとかみ合っていることが重要です。とはいえ、人事評価制度は基本的に会社が決めているもの。現場の管理職が簡単に変えられるものではありません。 では、今ある人事評価制度を「人を育てる仕組み」として機能させるためには、どうすればいいのでしょうか。ここでは3つのポイントに絞ってお伝えします。