箱根駅伝Stories/活力に満ちている立教大 復帰後3大会連続の本戦「シード権につながる走りを」
新春の風物詩・第101回箱根駅伝に挑む出場全21チームの選手やチームを取り上げる「箱根駅伝Stories」。新たな100年への第一歩を踏み出す大会に向かうそれぞれの歩みを紹介する。 箱根駅伝2025 立教大のエントリー選手名鑑をチェック!
自主自律の気風と大学の支援
箱根駅伝に55年ぶりの復帰から3大会連続出場となる立教大が、注目を集めている。髙林祐介監督が2024年4月に就任して以来、望んだ成果を次々とつかみ取り、活力に満ちているのだ。 まず、6月に全日本大学駅伝関東地区選考会を勝ち上がった。初の伊勢路行きを決める話題性があったものの、1年前の惜しい次点での落選を経て、ここは想定内の“ワン・ステップアップ”だろう。 特に目を見張ったのは、夏の鍛錬期を越えてからの勢いだ。10月に箱根駅伝予選会を総合トップで通過。約2週間後の全日本大学駅伝では7位に食い込み、初出場にしてシード権獲得を果たした。 予選会は3位通過を目標とし、全日本は目標の7位にピタリの到達だったと、髙林監督は言う。そのような水準に目標を置けるチーム力を備えていた、と捉える必要がある。外からは驚きの快進撃に映ったが、現場では日に日に手応えを得ていたと聞く。 髙林監督は就任して間もないころ、シード権獲得の目標を「口では言っていてもなかなか難しい」と感じていたそうだ。そのシード権はいま、掛け声だけではなくなり、目視できる場所にある。 今季の立教大学は、なぜこれほど快調なのか。真っ先に、髙林監督の手腕が挙がるのは当然だろう。キャリア初の監督業で、就任1年未満の中で成果を上げ続けているのだ。 しかし、それだけでは決してなく、さまざまな要因が複合し、噛み合っていった様子も見えてくる。下地はあった。まず、部員たちの足元を支える、大学の支援だ。 創立150周年事業の一環として強化に着手し、陸上部に専任の長距離監督を初めて招へい。寮など環境を整備するなどといった支援と、選手たちとの距離が近い。短距離や中距離などが関東インカレ2部で活躍してきた土壌もある。 学び舎には「自主自律」の気風が息づき、キャンパスと体育会の間に隔たりはあまり感じられない。安藤圭佑主将(4年)は「僕たちが入学した時点ですでに、自分で考えて行動する雰囲気はありました」と言う。予選会で集団走を行わない戦い方は、自律できる選手たちが作ってきたスタイルでもある。 プロジェクトは順調に成果を上げ、大学150周年の2024年より1年早く本戦に復帰。大会史上最長ブランクを克服した伝統校に、スポットライトが当たった。 ところが昨年度の10月、前監督の解任を受けて3月までの約半年、部長が監督を代行。学生が自主運営していた期間があった。監督不在で予選会を突破し、本戦は学生たち自ら調整し、区間配置なども話し合って決めている。 考えて行動できる立教大の選手たちだからこそ、自主運営の期間を過ごせたのだろう。組織運営では例えば、小グループを作り、グループ長が集まって会議。就任して間もない髙林監督が「驚きますよ。こちらから投げかけると、さっと意見がまとまって上がってきます。民主的です」と驚くほどだ。