2024年はスロット、デ・ラ・フエンテら“バランス型”の指揮官が成功 ポステコグルーら哲学が強すぎる指揮官は失敗ケースが目立つとの指摘も
アンチェロッティ、スカローニも成功例だ
指揮官の中には、自身が思う理想のスタイルにこだわるタイプの人物も多い。そのこだわりが様々なスタイルを生んできたが、2024年のサッカー界では『実用的』な戦い方が結果に繋がってきた。 そう振り返るのは、英『The Guardian』だ。 EURO2024を制したスペイン代表は象徴的なチームかもしれない。これまでのスペインはポゼッションをベースとしてきたが、チームを指揮するルイス・デ・ラ・フエンテはウイングの位置に個人で仕掛けられるラミン・ヤマル、ニコ・ウィリアムズを配置し、よりシンプルに縦を突く戦い方で欧州の頂点に立った。これまでの哲学にこだわるのではなく、バランスを重視した戦い方だったと言える。 2022ワールドカップ・カタール大会に続いてコパ・アメリカ2024も制したアルゼンチン代表監督リオネル・スカローニ、レアル・マドリードで結果を出し続けるカルロ・アンチェロッティ、ユルゲン・クロップからバトンを受けたリヴァプール指揮官アルネ・スロットも実用的なタイプか。 特にクロップ体制のリヴァプールはゲーゲンプレッシングを軸とするアクセル全開のサッカーが基本だったが、スロットはもう少しペースを落としてバランスを取っている。現在プレミアリーグ首位に立っていることを考えれば、スロットのやり方は大成功だったと言える。 逆にトッテナムで自身の哲学にこだわるアンジェ・ポステコグルー、昇格組ながらポゼッションベースの戦いにこだわりすぎたサウサンプトンのラッセル・マーティンは失敗例だ。 同メディアは今季途中よりマンチェスター・ユナイテッドの指揮官に就任したルベン・アモリムにも厳しい視線を向けており、アモリムはここまでスポルティングCP時代より採用してきた3バックベースの戦いを貫いている。シーズン途中の就任であることは考慮すべきだが、アモリムのこだわりが成功に繋がるかは分からない。 あらゆる対戦相手、展開に対応できる実用型のチームが今後は増えていきそうで、ジョゼップ・グアルディオラの影響を受けてポゼッション型のサッカーにこだわるタイプの指揮官は苦戦する時代となっていくかもしれない。
構成/ザ・ワールド編集部