阪神ドラ1佐藤が広島森下のカーブを仕留めた甲子園初アーチの意味…怪物は早くも”第二形態”に進化し始めたのか
基本的に変化球に対して体が突っ込むのはタブーだが、左打者は大きな変化球に対して「体は突っ込んでもいい」とされている。 右膝に体重が乗り、ボールに体重が乗るのだ。佐藤はどんなボールに対してもぶれずに同じスイングを貫くのがスタイルだったが、この日は、初めて崩れて打った。つまり対応して打った。この新境地は、今後、相手バッテリーを考えさせることになる。壁にぶつかっていた怪物が、それを乗り越え“第二形態“に進化し始めたと見ていい。 そのサインは7回二死一、二塁の第4打席にあった。 2番手のケムナにカウント1-2と追い込まれてから外角ギリギリに投じられた150キロのストレートをゴロでセンター前へ。これまでの佐藤ならバットが届かなかったコース。それを打ち返すことができた理由は、スイングの改善だ。これまでは、強く振ろうとするあまり、テイクバックが大きくなりバットのヘッドが下がってボールとバットがうまくコンタクトしないという問題があった。 先の横浜DeNA戦では、2日続けて矢野監督と井上ヘッドから2人がかりの指導を受けた。グリップで“間”を作ることと、右脇の空き方の確認をしているように見えた。スイングにいく際に右脇が空くとバットのヘッドが下がる。この修正に取り組んだ効果か、タイムリーを打った際には、バットのヘッドが下がっていなかった。だからファウルになることもなく打球はショートの右へと抜けていったのである。 6点中4点を新人2人で奪いとっての4連勝。矢野監督が就任以来最多となる貯金「8」となり2位の巨人に3.0ゲーム差である。 矢野監督も、「ミスやいろんなことが起こるが、その中で成長していって欲しい選手たち。チーム内の競争を激しくしてくれているところもある。どんどん思いきって超積極的にやっていってくれたらうれしい」と強力な新戦力の台頭に目を細める。 佐藤は甲子園初のお立ち台で「将来はどんな打者になりたいか?」と聞かれてこう答えた。 「チームを勝利に導けるようないい場面で打てる。そういう打者になりたいと思います」 ”第二形態”に進化しつつある怪物は早くも六甲おろしが似合うバッターになってきた。