「毎日食べても飽きない!」中華料理愛好家・酒徒さんが語る、家庭の新しい中華料理
小竹:中国に行った際のお店選びも同じ感じなのですか? 酒徒:情報がまだ全然なかった時代は、とにかく足で稼ぐ感じでした。そもそもレストランがどこら辺にあるのかもわからないまま、とりあえず行ってみる感じだったので、地図を買って、そこに載っている名物料理のコーナーとかを見て行ってみるんです。 行くと何軒か並んでいるので、客の入りとか店の清潔感とか、品書きを見せてもらってその地域の料理がどれだけ多いかとか、他の地域の料理が品書きに混ざり込んでいる比率が低い店かとか、そういうことを頼りに選んでいました。 小竹:なるほど。 酒徒:向こうでも今は口コミサイトが山ほどありますが、そういうのが出てきてからの時代は“逆張り戦法”を行っています。例えば、四川料理レストランの口コミを見たときに、他地域から来た人が「辛すぎて食べられない」と書いていると、「ここは本格的でいいな!」と感じます(笑)。 小竹:レビューの見方が新しいですね(笑)。 酒徒:その土地なりのこうあるべき料理というものの知識はこれまで培ってきたので、それをなるべく追い求めたい。食べやすい味ではなく、本来あったであろう味を求めたいという基準で下調べをします。
見た目だけで判断しないことが大事!
小竹:ちなみに、好きな中華料理は? 酒徒:そう聞かれることは多いのですけが、あれだけある中から1つ選べる性格だったら、こんなにいろいろと食べ歩いていないです。広東料理の飲茶の点心の中の甘くないおかず的なもので1個選べと言われても無理です(笑)。 小竹:こういう気分のときにはこうなるみたいなことはありますか? 酒徒:ありますね。今日は白酒(50度くらいある中国の蒸留酒)を飲みたいと思ったら北の料理のほうがあうなとか、今日は紹興酒にしようと思ったら上海料理だなとか。酒が動機になることが多いです。 小竹:中国を旅していて、自分の常識を覆された驚きの料理はありましたか? 酒徒:見た目でものを考えたらダメだと感じたのが、福建省や広東省では見た目が非常に悪い食べ物をよく食べているんです。海の砂地に住むホシムシというニョロッとして真っ白なミミズを大きくしたような生き物がいて、それを現地では姿蒸しにして食べるんです。 小竹:そのままですか…。 酒徒:あと、切り刻んで煮込んで煮こごりにして、ドーム型のゼリーみたいにしたものも名物料理としてありますね。行く前にそれを調べて知って、現地で名物のおやつになっているということはうまいはずだと思って食べてみたら苦もなくおいしいんですよ。 小竹:うんうん。 酒徒:癖がない味で、コリコリした旨みのある貝みたいな感じで、今もよだれが出るくらい好きで(笑)。出張とかで行く度に現地の人に「あれ食べたいんですけど」と言うと「え、知っているの?いいね!」みたいになって仲も深まる。見た目ではなくて食べてみることがとても大事で、しかも食べてみれば大体おいしいんですよ。 小竹:ホシムシはその地域でどうして食べられていたのですかね? 酒徒:おいしいからですね。見た目で日本人は物を考えすぎなのでしょうね。福建省なので海沿いだから海鮮も採れる。だから、別にホシムシを食べなければ生きていけないような場所ではないけど、海で採れるものの中でおいしく食べられるものの1つというだけだと思います。