企業のカスハラ対策に遅れ、未対策が7割超 「カスハラ被害」で従業員の「休職・退職」13.5%の企業で発生
「カスハラを受けた」業種別
「カスハラ」を受けた経験がある企業の業種別(母数10社以上)は、「宿泊業」が72.0%(25社中、18社)でトップ。宿泊客とのトラブルなどで「カスハラ」を受けるケースが多いようだ。 次いで、「飲食店」の64.8%(37社中、24社)、タクシーやバスなど「道路旅客運送業」の55.5%(18社中、10社)が続く。個人客と接することが多いサービス業や小売業が上位を占めた。
Q2.その結果、従業員の退職や休職が発生しましたか?(択一回答)
◇「休職や退職が発生」が13.5% 「カスハラ」を受けたことがある企業から回答を得た。その結果、「休職が発生した」が4.3%(1,040社中、45社)、「退職が発生した」が5.3%(56社)、「休職と退職が発生した」が3.8%(40社)で、「休職や退職が発生した」は合計13.5%(計141社)と1割超に及び、企業の10社に1社がカスハラによる休職や退職を経験していることがわかった。 規模別では、「休職や退職が発生した」は大企業が17.4%(132社中、23社)、中小企業が12.9%(908社中、118社)で、大企業が4.5ポイント高かった。 一方、「退職や休職には至らなかった」は、全企業で86.4%(899社)、大企業は82.5%(109社)、中小企業は87.0%(790社)だった。
「休職・退職が発生」した業種
「休職や退職が発生した」と回答した企業の業種別(母数5社以上)は、最大が「窯業・土石製品製造業」の50.0%(6社中、3社)だった。次いで、「道路旅客運送業」(10社中、4社)、「化学工業」(5社中、2社)の各40.0%、「各種商品小売業」の33.3%(6社中、2社)、「不動産取引業」の26.0%(23社中、6社)と続く。 「カスハラ」による休職や退職は、幅広い業種に広がっている。
Q3.カスタマーハラスメントの内容はどのようなものでしたか?(複数回答)
◇「口調が攻撃的・威圧的」が73.1% 「カスハラ」の内容について尋ねた。最多は「口調が攻撃的・威圧的だった」が73.1%(1,047社中、766社)だった。次いで、「長時間(期間)にわたって対応を余儀なくされた」が50.1%(525社)、「大きな声を上げられた」が38.9%(408社)、「一方的に話し続けられた」が37.5%(393社)、「過度に謝罪を要求された」が24.5%(257社)、「自社担当者の人格否定があった」が24.0%(252社)と続く。 一方、少なかった回答では、「暴力を振るわれた」が2.1%(22社)、「録画・録音された」が3.3%(35社)など。 規模別では、「口調が攻撃的・威圧的」は大企業が72.6%(139社中、101社)、中小企業が73.2%(908社中、665社)で大きな差はなかった。一方、「長時間(期間)にわたって対応を余儀なくされた」は大企業が59.7%(83社)、中小企業は48.6%(442社)で大企業が11.1ポイント高かった。