WBSS決勝で井上尚弥がドネアに勝ったら1億円「勝者には8桁(10億円)の価値がある」
ワールド・ボクシング・スーパーシリーズ(WBSS)バンタム級決勝(7日・さいたまスーパーアリーナ)並びにWBC世界同級統一戦の記者会見が5日、東京九段下のグランドパレスで行われ、“真の最強決定戦”に挑むWBA、IBF世界バンタム級王者、井上尚弥(26、大橋)と5階級制覇王者で現WBA世界同級スーパー王者、ノニト・ドネア(36、フィリピン)、そして統一戦を戦うWBC世界バンタム級正規王者、ノルディ・ウーバーリ(33、フランス)と同暫定王者、井上拓真(23、大橋)の4選手が共に強い覚悟を口にした。WBSS代表のカレ・ザワーランド氏も来日、この試合の勝者が推定1億円のファイトマネー&勝利ボーナスを手にすることを明かすと共に「この試合の勝者には8桁(約10億円)の価値がある」とも明言。世界が注目の決勝戦は、井上尚弥が、さらなるビッグスターへ飛躍するための大舞台となる。
誇りを持って世代交代を成し遂げる
トラッシュトークなどいらない。リング外の演出や過度な挑発が大嫌いな井上尚弥にとって、決戦2日前のとても紳士的なムードで開催された記者会見は理想に近かったのではないだろうか。 5階級制覇王者のドネアが先に、「決勝まで来たことをファイターとして誇りに思う。井上と対戦できることに特別な気持ちと大きなモチベーションがある。若きスター(井上尚弥)も同じ集中で挑んでくるだろう。彼に対してはリスペクトしかないが、彼が世代交代だと言うのなら、その前に立ちはだかる大きな壁になる。イージーなファイトはさせない」とコメントすると、井上尚弥も、静かな口調で、こう返した。 「決勝まで残り2日。いよいよこの舞台まで来たなという思い。決勝をドネアと戦うのは一番望んでいた形。すごく楽しみ。ドネアはプロ入り前から見てきた憧れの選手の一人。その選手と決勝で戦えることに誇りを持って世代交代を確実に成し遂げるだけ。彼とは交流もあるが、今かける言葉は何もない。当日リングで素晴らしいファイトをやるだけ」 計量を前に頬のこけ方も、それほどではない。 父で専属トレーナーの真吾氏が「最高。マックスの仕上がり」と言うほどコンディションはいい。 「この試合へのモチベーションと意識の高まりの結果だと思うんです。勝つために何が必要かを考えて、高いレベルで自己管理ができている証拠ですよ」と真吾トレーナーが説明した。 試合展開についても“レジェンド”のドネアが「カギは、的確な戦略を立ててそれを遂行すること。そして、それを遂行する中で適応することが大切。スキルレベルとパワーを考えると、どのような展開、結果になるか予想がつかない。最高の状態で戦うだけ」と語ると、井上尚弥も、似たような話をした。 「準々決勝、準決勝と最高の形できている。決勝でも、それに変わらぬパフォーマンスを見せたい。KOでも判定でもどちらに転んでもいい準備ができている。すべてに対応できる。当日、向き合ってから(攻略方法は)考えていきたい」 準々決勝のファン・カルロス・パヤノ戦は70秒、準決勝のエマヌエル・ロドリゲス戦は259秒での決着だった。