俳優・上村侑20歳 念願の時代劇、だけど刀も甲冑もなくて
上村侑(うえむら・ゆう)は11月に20歳になったばかり。2年前に映画デビュー作にして主演に抜擢、演技が高く評価されて賞を獲得するなどこれから活躍が期待される若手俳優の一人で、凛々しいたたずまいと視線の強さが印象的だ。最新作『近江商人、走る!』(三野龍一監督、30日公開)でも主演をつとめている。果たしてどんな俳優なのか。 【写真特集】近江商人役にチャレンジした上村侑
人を楽しませることが好き 家族の前でもつい
デビュー作は実話をモチーフにした衝撃的な内容だった。映画『許された子どもたち』(内藤瑛亮監督、2020年公開)で上村が演じた主人公は、いじめで同級生を殺しながらも処分を受けず世間から激しいバッシングを受ける少年。家族、友人、さまざまな人間関係の狭間で揺れ動く思春期の葛藤を上村は見事に演じきり、第75回毎日映画コンクールのスポニチグランプリ新人賞に輝いている。 「人生わからないですよね、どうなるか」と笑う上村。やはりあの作品が原点だと振り返るが、それ以前から演じることに興味を持っていたようだ。 「学芸会では裏方よりも役をやりたがる自分がいて、もともと人を楽しませるのは好きだったんです。人前でお芝居をすることにあこがれみたいなものを抱いていたのかな、とも思います」 どんなふうに楽しませていたのか聞くと、幼い頃から現在に至るまで「家族の前でもつい芝居をしてしまう」と照れ笑い。 「たとえば実家のリビングで家族が談笑しているところに入っていくとします。そのときドアをバーン!と派手に開けて、何かポージングしてから入るんです。家族はそんな僕を見て『何をやっとるんだ?』って感じなんですけど(笑)」 小学校でも同じだったという。 「学期の終わりごとにお楽しみ会があったのですが、友人と2人でいろいろ企画を考えてお笑いみたいなものをやってみて、それがウケたりするとやっぱり楽しくて。些細なところかもしれませんが」 テレビやネット動画の影響を受けたのかと聞くと、上村は一本の映画をあげた。ジム・キャリー主演の『マスク』(チャールズ・ラッセル監督)だ。 「中学生の頃あの映画を観てすごい面白くて、あそこまではっちゃけられたらいいなって思いつつ、あれが僕の“面白い”の基準になってしまったというか(笑)。言葉より顔や体で表現する面白さ、それは全世界共通で面白いだろうなって気がします」