湘南ベルマーレJ2降格の背景にある移籍モラルの崩壊
湘南ベルマーレのJ2降格が決まった。22日の大宮アルディージャ戦で敗れたことで、セカンドステージの2試合を残して、年間総合順位で降格圏の17位以下となることが確定した。 2013シーズン以来、通算4度目のJ2降格は北海道コンサドーレ札幌、京都サンガ、すでに来シーズンの降格が決まっているアビスパ福岡と並ぶ、不名誉なリーグワーストタイ記録となった。 曹貴裁(チョウ・キジェ)監督のもとで2度目のJ1に挑んだ昨シーズンは、年間総合順位で8位と大躍進。鹿島アントラーズから2勝をあげ、セカンドステージでは川崎フロンターレやFC東京も撃破するなど、内容をも伴わせて悲願の残留を果たした。 一転して今シーズンは、開幕から大苦戦を強いられた。ファーストステージこそ最後の4試合で2勝2分けの星を残して上向きになったものの、セカンドステージ第3節からは泥沼の10連敗。7月23日の第5節以降は一度も降格圏から脱出できないまま、無念の終戦を迎えた。 2シーズン連続のJ1残留を果たせなかった最大の原因は、得点力不足に帰結される。32試合を終えた段階での総得点「26」は、年間総合順位で最下位の福岡の「25」に次ぐリーグワースト2位で、昨シーズンの同時期より「12」も少ない。無得点に終わった試合は2つのスコアレスドローを含めて半分近くの「15」を占め、1点差で泣いた試合も「12」を数えている。 チーム得点王は新加入のFW端戸仁(前横浜F・マリノス)の4ゴールで、キャプテンのFW高山薫、副キャプテンのMF菊池大介がそれぞれ3ゴールで続いている。もっとも、端戸と高山は主に2列目のシャドーを、菊池は左ワイドを主戦場としている。 ヘッドコーチから昇格した曹監督に率いられた2012シーズン以降、湘南は「3‐4‐2‐1」を基本布陣として戦ってきた。しかし、今シーズンは最後まで1トップを固定できなかった。 昨シーズン途中に復帰したキリノはコンディションを上げられず、昨年から通算して10試合無得点のまま、7月にJ3の大分トリニータへ期限付き移籍した。代わりに獲得したジネイ(前鹿島アントラーズ)が初ゴールを含む2得点をあげたのは、降格が決まった大宮戦だった。 必然的に藤田祥史と大槻周平の日本人選手が1トップを務めるケースも多かったが、前者は12試合1得点、後者は27試合2得点にとどまっている。大槻は守備面で奮闘したが、取るべきポジションの選手が合計5得点に終わっていては、いくら攻守を素早く切り替え、積極的に縦パスを入れる「湘南スタイル」のもとでチャンスを作っても、チームは上向きに転じない。